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July 29, 2009


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豚組 しゃぶ庵

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昨晩は、Twitterで知り合った(!)
グレイスの社長、中村仁さんにご招待され
彼の会社の店である、六本木の「豚組 しゃぶ庵」でご馳走になった。


失礼ながら、お店に伺うのは初めてのことで、100坪の大バコに驚いた。

内装が見事で、古材木と漆喰壁の組み合わせに楽しくなる。
しゃぶしゃぶを暖める鍋も、ルクルーゼのココット。
手元の箸も、吉野杉。

ああ、この方は、美味しい料理が出したいだけじゃなく
楽しい時間や、贅沢な空間、付加価値も含めた体験を提供したいんだなあと感じる。


もちろん、料理のほうも、豚にこだわった品々のオンパレード。
しゃぶしゃぶに行き着くまでにも、ずいぶん豚を味わった。


僕は、豚の料理、というのは難しいと思っている。
豚というのは、強くて、弱いように感じる素材だからだ。

例えば、トンカツみたいに、衣で被ってしまって揚げてしまえば
豚の美味しさを、逃すことなく味わうことができるだろう。
だけど、その「逃す」というのが、簡単に行われてしまう食材である。
豚自体の味というのは、とても繊細なもので
調理法や、味付けによっては、簡単にどこかにいなくなってしまう。

どこかに行ってしまっては、こだわりの食材も普通の食材も一緒になる。
だから、こだわりを持つ相手としては、すごく難しい食材だと感じている。

比べかたが間違っているかもしれないが、ある意味、豆腐と似ている食材だ。
豆腐というのも、こだわりの豆腐と、そのへんの豆腐が
料理方法によっては、さっぱり区別が付かなくなってしまう。
しかし、豆腐は、そのまま食べられるから、まだましである。
素材の良さを、最大限に主張する方法が、少なくとも1つあるからだ。


しかし、豚にはそれがない。

どう、こだわりの豚料理を、提供するのか、気になっていた。

楽しみに食事をさせていただいた。


僕が感じたお店からの答えは3つ。


1つは、いろんな角度から豚を味わってもらおうということ。
しゃぶしゃぶに至るまでに、いくつもの皿で豚を味わった。
メンチカツがジューシーで美味しかった。
ワゴンサービスで切り分けてくれる焼き豚も面白い演出だ。
いろんな角度からの豚の攻めで、舌と頭が豚で染まっていく。


そして、メインのしゃぶしゃぶでは、種類の異なる豚を提供する。
正直、よほど薄く出汁をつけないかぎり、その違いがわかるほど
僕の舌は大したものではないのだが、なにより、その試みが面白い。
もちろん、ちゃんと味わえば、キャラクターの違いもわかる。
塩タレを、もっとさっぱりとした薄味にしたらよいように思えた。
トンカツや天ぷらを、塩で食べるような感じでね。


最後に、空間が効いてると感じた。
どこか、旅行にでも来たような感覚になる。
例え、途中、トイレなどで席を離れても、それを継続させるための
細かいこだわりが効いている。案内の表示板とかね。
牛は、ギューギュー、モーモー言いながら、ワイワイ食べるのが美味しいが
それと同じような感じにはせず、豚料理を食べる空間というものを
しっかり設計して、演出しているからこそ、なにか特別なものを
こだわりの豚の料理から感じるように思えた。


お店というもの、なにをどう提供するのか、というものは
本来、様々なスタイルがあってよいわけだ。
しかし、なかなか、どうしても、同じようなものになってしまう。

「豚組 しゃぶ庵」は
こういうスタイルでいく、というのが、明確にデザインされた店だった。
この店の料理、そして、この店の空間。


1つあるとすれば、サービス対しても、もっとなにか
ユニークな演出が加わると面白いように思う。
或いは、ちょっとした小物にも。
メニューなのか、呼びベルなのか、わからないが、他にもある、いつものものが
「新しいなにか」に変わったら、もっともっとユニークな空間になると感じる。


しかし、昨晩のことではあるが、思い出せば
お店のいろいろなシーン、場面が頭に蘇る。
それができていることが、なによりすごいなあと思った。


Posted by eno at July 29, 2009 12:39 PM


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