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October 06, 2010


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誤解とコミュニケーション

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先週は、たまたま2つのトークがあった。

月曜日は、ロフトワーク主催の、Open CUでの上野美香さんとのトーク。
金曜日は、Twitter主催の、Twitter社創業者Biz Stoneとのトーク。


2つのトークが同じ週に集中するというのは珍しく
また2トークともに、「コミュニケーション」が話の主軸であったため
2つのトークで、イコールだった部分や差分も含め
自分のコミュニケーションに対する考えが整理できたように思う。

コミュニケーションを通して、コミュニケーションを知るというのが面白いが
主観と客観を通して、改めて、自分のコアを知るというのは
まさにコミュニケーションではないか、と感じた。


2つのトークで、様々な話をすることができた。
重なった話も幾つかあるのだが、反応がよかった話を1つ挙げたい。

ちなみに、Biz Stoneとのトークは、生放送のみであったが
後日、字幕が付いたものが、改めてアップされることになったので
見逃してしまったかたは、ぜひ、楽しみにお待ちください。
Twitterの創業者であるBizから、Twitter、そしてコミュニケーションについて
ある程度、突っ込んだ話を引き出したトークも珍しいと思いますので。


「コミュニケーションは誤解(或いは欠如)によって加速する」という話。


例えば、誰か友人が「やっと自分の仕事というものを見つけたよ」と言ったとする。
当然意味がわからない。
自分の仕事でやるべきことを見つけたのか、仕事のスタイルを覚えたのか
なにか新しい仕事に出会って、いまいる会社をやめようとしている話なのか
或いは、自分の天職みたいなものに出会ったという、めでたい人間的な話なのか
わからないから、興味を持ち、問いかける。

コミュニケーションというのは誤解があるから、或いは欠如しているものがあるから
そもそも発生し、それが持続する限り続くわけである。

もちろん、誤解がなくなる、なんてことは実際にはないわけだが
聞き手にとって「もう充分」と感じたら、そこでコミュニケーションは停止する。

また、コミュニケーションというのは一方的なものではないので
喋り手、聞き手という関係からスタートしても
聞き手側が発した言葉によって、喋り手が誤解を受けたら
(或いは、なにか欠如を感じたら)、双方が喋り手、聞き手になって
コミュニケーションは活発になる。

というのが、「コミュニケーションは誤解によって加速する」という意味だ。


話は少し逸れるが、一方的にずーっと喋りまくる人がいるが
そういう人に限って、ディテールから自分の思いから、なにもかも喋るので
話の相手は「はあ」とか「へえ」とか、そんなことしか返せなくなるのである。

喋っている人は、コミュニケーションをしているつもりでも、聞き手にその意識はない。
「はあ」とか「へえ」というのは、終了を告げる合図である。
</HTML>であり[EOF]である。
はい終わり、というのを、相手に気付かせたいだけなのだ。もうお腹いっぱい。


Twitterというのは(それを狙ったわけではないが結果的に)その点がよくできている。

140文字という制限によって、誤解が生まれやすいのだ。


例えば

「おはようございます! 今日は早朝、というか夜中の3時から出社して仕事しています。
 そして、悲しいことに、朝食も、昼食も抜き(!)になりそう。晩ご飯はTwitter社の
 Bizとの会食で、お寿司を食べることができるけれど、それまで自分のお腹が持つか心配です。
 というのも、いま東京都にプレゼンしているコミュニケーションプランに間違いが
 あったようで、明日の朝のミーティングまでに訂正して揃えておく必要があるので
 こんな早朝から......、っていうか、仕事が終わって帰るのも、夜中になるんだろうなあ。
 ま、明日は休みだからいいんだけどね。(-:」

なんていう朝の挨拶があったとする。メールでも電話でもなんでもいいんだけど。

ここまで一方的に言われてしまうと「大変ですね」くらいしか言葉が出ない。
ちなみに、この文章は260文字。


それが、140文字になると

「おはようございます! 夜中の3時に出社して仕事中で、朝食も昼食も抜きっぽい。
 晩ご飯は仕事の会食で食べることができそうだけど、それまでお腹が持つか心配。
 なんとか明日の朝までプレゼン資料の仕事を終わらせないとならないんだけど
 終わって帰るのは夜中になりそう。。......orz #ohayou」

という感じになる。

ほぼ、同じことを言っているようでも
この文章だと「なにをそんなに仕事が詰まっているのか?」とという気になる。

ある程度の深い仲なら「仕事の会食って誰と?」と興味を持つかもしれないし
「そこまで忙しい仕事ってなんだろう?」とメールや電話をしようと思うかもしれない。
「明日は休み」という部分は完全に抜けているので、体調を心配する人もいるかもしれない。

であるから、コミュニケーションが生まれる。
「そんなに仕事して、身体は大丈夫?」とか
「会食って誰と?」とか、「会食いいなあ、なにを食べるの?」とか
「プレゼンってなんの?」とか、かける言葉は人や関係によって違うだろうが
誤解や欠如があることによって、コミュニケーションが発生して、加速するわけだ。

そもそも、単純に言葉数が少ないだけでも、コミュニケーションしようという気になる。


であるから、もし、コミュニケーションの発生を目的にするなら

「おはようございます! 夜中の3時に出社して仕事中で、朝食も昼食も抜きっす!
 仕事が終わって帰るのは夜中になりそう。。......orz #ohayou」

というくらいに留めたほうが、「大丈夫!?」、「なんの仕事!?」
「晩ご飯は食べられるの?」と、興味を持ったり、心配してくれる人が多くなるだろう。

ちなみに、この文章は70文字。上の文章の半分である。
140文字までずいぶんあまりがあるので、コメント付きリツイートももらえるかもしれない。


さらに、これがTwitter本家になると、使われる言語は英語だ。
だいたい平均して、日本語に対して英語は、2倍の文字数を使うので
ここでいう最後の文章が、Twitter本家では140文字となり、こんな感じが1回のツイートとなる。
コメント付きリツイートが日本で流行るというの理由も理解いただけるだろう。


コミュニケーションというのは、誤解や欠如によって発生し、そして加速する。


Twitterは、たまたまではあるが(ケータイのSMSでの利用を意識してそうなった)
140文字という文字数の制限によって、コミュニケーションが活発になった。

コミュニケーションが活発になるだけではなく、誤解を含んだ、或いは欠如がある
誰か知らない人の文章によって、その人に対して興味を持ち
会話してみよう、フォローしてみよう、という気になるわけだ。
少なくとも、「お腹いっぱい」にならないようできているのは、素晴らしいと言える。


メールでも、仕事なら別だけど、プライベートで超ロングメールを
送ってくる人もいるけれど、オレはお前のエッセイを読んでいるのか?
って、ちょっと嫌になるよね。


......って、このBlogはいつも長いじゃんって?


あら、じゃ、このへんで......。

お後がよろしいようで。。


ちなみに、このあたりのことを主題にした「本」をいま書いています。

ご興味あるかたは、楽しみにお待ちください。


Posted by eno at October 06, 2010 10:46 AM


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