「紫陽花がほんと美しいなあ」、と思う。
雨の道を歩くと、ぽっと、紫陽花の美しさが目に入る。
遠くから、そして近づいて、しばらく、見てしまう。
歳を取ると、味覚やらなにやら変わっていくが
「美しいなあ」の感覚も変わるように思えてきた。
もちろん、紫陽花は美しいし
以前から、そう思っていたわけだけど、そこまでではなかった。
例えば、比べれば、桜の季節の、桜の美しさに大して
紫陽花の季節の、紫陽花の美しさは、そこまで感じてはいなかった。
「あー、紫陽花咲いてる、キレイね」くらいで。
チューリップキレイね、くらいの感覚だった。
チューリップには失礼な話だが。
桜もそうだけど、白に、ほんのり色が付いた感じの
その微妙なグラデーションが、ほんと美しい。
非常に日本的な色だと思うし、日本人的な感覚なんだろう。
雨の季節は、「あー雨だ」「また雨か」と
雨が続いてしまうと、そのありがたさも忘れてしまって
なんとなく、嫌だなあ、という気分になってくるので
来年からは、「紫陽花の季節が来る!」と楽しみにしてみよう。
春になって、「桜の季節が来る!」と楽しみになるように。
こんなに美しいのに、毒を持っているというのもすごいよね。
だから、美しいのかしら。
紫陽花といえば、この絵が美しい。(葛飾北斎・画『あじさいに燕』)
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