新幹線で東京を離れた。
坂本龍一さんの新しいアルバムが出たばかりなので
外の景色を眺めながら、ずっと聴いていた。
景色が変わる。
音楽が変わる。
あたりまえだけど、その景色に合わせて
音楽を作っているわけではないから、「ずれ」が面白い。
音楽に引っ張られて、寒い北の台地を移動しているような気分になる。
その逆で、「ぴったり」があっても面白いのでは、と思う。
新幹線の車内LANを使って
移動を楽しめるような、ソフトがダウンロードできればよいわけだ。
自分=新幹線の位置の送受信はできるだろうから
単に、マップの上を、自分=新幹線のマークが
移動するだけでも、ずいぶん面白い。
あ〜、いまこんなとこ走ってるんだー、とか。
そろそろトンネルだー、とか。
向こうから上りの新幹線が来るぞー、とか。
めちゃめちゃハイスピードで、すれ違い通信だー、とか。
自分=新幹線の位置を込みで、コメントを残すことができれば
ほかの人が、以前に「その場所で」書いたコメントを読むこともできる。
へぇ、この山ってそんな歴史があるのかー、とか。
次の駅の、鮎の駅弁って、そんなに美味しいのかー、とか。
デバイスを使ったエンターテインメントは
現実世界とぜんぜん関係ない世界での遊びが多いわけだけど
現実世界に別のレイアーをのっけて遊ぶようなものが
これから、どんどん増えていくと思う。
グラフィックの性能が、驚くようなスピードで向上して
めちゃめちゃリアルなものが表現できるようになったいま
「脳で補完する楽しみ」というのは、そういうところで
また、盛り上がっていくのではないだろうか。
「現実は甘くない」けれど
現実を甘くしちゃうというのが、1つのエンターテインメントだよね。