モモが美味しい。
モモはとてつもなく美味い。
そろそろ食べ頃も終わってしまうが
ナシやカキへと、食べ頃果物は、バトンタッチしていく。
年初のイチゴから始まって
年末に近づいてミカンが美味しくなるまで
日本では年中、食べ頃果物が、バトンタッチしていく。
果物が甘い、というのは
果物にとって、大事な機能である。
別に、僕らに「美味しいな!」と喜んでもらうために
自らを甘くしているわけではない。
正確には、「だけ」ではない。
果物を含めて、植物は、自ら動かない。
僕ら、動物は、自ら動く。
果物は、子孫を増やすために
「種子」を、動物に運んでいってもらう必要がある。
動物は、甘くて美味しい果物を食べ、動きまわった後に
消化されななかった種子を、排泄とともに播いている。
そう、動物は、種まきをしているのだ。
果物の子孫繁栄を手伝っているわけだ。
食事と排泄を通して。
だから、いっぱい食べてもらうために
果物は、自らを甘く、美味しくしている。
美味しかったら、いっぱい食べて、種子を運んでもらえるし
美味しくなかったら、食べてもらえないからだ。
大型の動物のほうが、より移動距離も長いため
なるべく、上のほうに、実を付ける果物も多くある。
実を付けた果実が、だんだんと熟して、食べ頃になると
枝から取れやすくなるのも、そのためである。
準備OKになる前に、食べてもらっては困るし
準備OKになったら、なるべく食べてもらいたいからだ。
そこまでして熟れた実を取れやすくしたのに
誰にも食べてもらえない場合、やがて枝から落ちてしまうが
それは、「小さな動物でもいいから食べて〜」という感じだろうか。
面白いのは、トウガラシ類である。
やつらは、ものすごく辛い。
だから、動物には、ぜんぜん食べてもらえない。
それは何故か?
何故、そんなことをしたのか?
ほ乳類に、食べられてしまうと
トウガラシの種子は、ほ乳類の消化器に壊されてしまうからだ。
そして、実は、鳥類は、辛みのもとである
カプサイシンを感じない。
鳥にとっては、辛くない。
そんなおかげで、トウガラシ類は
ほ乳類に食べられず、鳥に食べられ、種子を遠くまで運んでもらえる。
システムとして、よくできているなあ、と深く感じながら
楊枝で、シーシーとやるのである。
ごちそうさま。
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