このところ、仕事で、作曲をする機会が多かった。
とはいえ、楽曲的に、リズムというか空間重視なものばかりだったので
久々に、いわゆるメロディがあって、コードがあって
というようなスタイルの曲が、作りたいなあと
すごく思うようになってきた。
あまりコード進行的に、楽曲を捉えているわけではないし
どちらかというと、20代の半ばくらいからは
そういう曲作りを避けていて、結果、コードが付くとしても
コード進行の上で考えたわけではない、ということが多かった。
しかし、最近になって、純粋にコードから
曲を作ってみたいなあと思うようになった。
それはそれで、コードの動きって好きなんだよね。
小さい頃のアニメソングとか、ビートルズ、初期のYMOが
そういう影響を強く与えているのかしら。
例えば、YMOの「Behind the Mask」のコード進行
F→D♭→E♭→Cm、というのは、もう最強である。
この曲を聴いたときに、受けた、ハーモニーの動きが衝撃的すぎて
どこか、奥深い、根っこのとこに染みついてしまっている。
広がりを感じつつロック、というコードである。
また、この曲の鋭すぎるところは、メロディにあって
メロディだけでも、コードの動きを感じられる。
簡単にいえば、各小節の頭のところのメロディは
そのまま、F→D♭→E♭→Cmなのである。だから強い。
それを繰り返した上で、次にメロディのハーモニーが上から鳴ってきて
それがもう、美しすぎて倒れてしまう。
あぁコード曲が作りたい。
なんて、思っていたところ。
今日、久しぶりにテレビを見ていたら
渡辺美里さんが出ていて、「My Revolution」を歌っていた。
この曲は、小室哲哉さんの作曲である。
まだ、メジャーではなかったころの彼が、作曲家としてメジャーになった楽曲。
と同時に、その後の彼の作曲スタイル、特にコード進行と
なんといっても、当時は衝撃的だった、3度上がる転調を
「自分の持ち物」、自分のスタイルとして確率させた曲である。
あの進行と転調があるおかげで、小室哲哉の曲は、小室哲哉の曲に聞こえるのだ。
それまでのメロで、落ち着きを作っていたAmが
サビの頭から、いきなり「わかり始めた」ってAだもんなあ。
歌の出だしで、具合が悪くて寝込んでいて、一人になってみていろいろ悩み出した人が
サビになって、突然、裸にトレーニングシューズ履いて、走り出しちゃうような展開。
それはそれは、インパクトがあった。
なんて、テレビを見ていて1つ思い出した。
globeの「Feel Like Dance」。
この曲のサビ。
C→D→G/B→C Am7→D→C/E・D/F#→G
というコード進行。
これはこれで気持ちがいい進行だし
僕が唯一、彼の楽曲の中で、自分でコードを取ってみた曲である。
最初の4小節で、上がって戻って、その後の4小節で
頭で落ち着いた上で、開いて、ぐんぐんぐーん、と上がる展開。
それに小室詞の「ひとは」とか「とおい」とか「いつのころ」とか「せかい」とか
そういうセカイ系の元祖みたいな歌詞が乗って、共感を生み出す。
ちょっと脱線した。
それを思い出したわけではなく
この曲が、すごいのは、後ろで鳴ってる、小室さんのハーモニーだ。
この小室さんの歌、ハーモニーは、コードの音と合ってないのだ。
初めて曲を聴いた人が、歌を合わせてみてくれと言われて
歌ったような、あまりにも微妙な、裏メロディの動き。
この、なんだかよくわからないハーモニーが中毒性を生んで
大ヒットに繋がった、と僕は思っている。
ちなみに、僕は、この曲の、小室さんのハーモニーの中毒になって
もう耐えられなくなって、聴きたくて聴きたくて、当時、CDを買った。
初期の転調、で自分のスタイルを掴んだ小室さんの
2度目に掴んだスタイルが、この絶妙に微妙なハーモニーだと思っている。
その後、いろんな曲で、小室さんは裏で吠えている。叫んでいる。
音楽って、ほんとに、面白いなあと思う。
そのうち、こういう視点から、音楽の本、書こうかなあ。
Tweet