いつも思うのだが、デモには力がある。
先日、ファイルの整理をしていた。
ハードディスクの容量が、だんだん詰まってきたので
いらないファイルを探して、捨てていたりした。
すると、音楽のファイルがあって
開いてみると、ずいぶん前に作ったデモの曲だった。
聴いていると、仕事仲間が部屋に入ってきて
「これ誰の曲ですか? いい曲ですね」と言う。
ほう。
嬉しい。
「ああ、これは、デモの力だな」とも、思う。
楽曲を作る場合、というか、僕の場合
最初にデモトラックを作る。
昔の作曲家と違って、現代のデジタルの作曲家であるので
曲が浮かぶ、というのは、メロディが浮かぶわけではなく
楽曲の、なんとなくの構成とか、音色とか、リズムなども含めた編曲
そういう、形のベースみたいなものが浮かぶわけで
それを、そこから2時間くらいかけて、ザザザと作ってしまう。
ただし、打ち込みも甘い。
音色の選択も甘い。プリセットされた音も構わずに使ってしまう。
早く、形にさせる、ということが重要だからだ。
そして、それをしばらく、置いておく。
仕事でやっている場合は、締め切りもあるので、2〜3日。
そうでない場合は、もうちょっと長く。
今回、発見された曲は、置いているうちに、忘れ去られてしまったようだ。
もしくは、なんかの理由で、そのままになっていた。
置いておく、といっても、漬け物とは違って
ただ置いておいても、なにも変化はないのだが
数日経って聴くことによって、客観性が持てるのだ。
で、そこで聴いて、どう弄ろうか考える。
或いは、そこで捨ててしまう。
もしかしたら、今回のは、捨ててしまった曲なのかもしれない。
そこで弄ろうとなった場合は、もうちょっとマジメに取り組む。
ある程度適当だった、打ち込みのデータを、細かく調整したり、変えてみたり。
大きいのは、音色を作ったりなど、音の調整をすることだ。
そうやって、曲自体は、ある程度、変わる。
その後、用途にもよるが、スタジオに入ったり、或いは自分のmacで
ミックスをして、曲として仕上げていく。
と、ここまでやると、元のデモの曲とは、基本的な部分は同じであるけど
楽曲としては、ずいぶん違う曲となる。
一言で言えば、クオリティが違う。
しかし、やっと本題になるが、なにかを失ってしまうことが多い。
キレイにはなったのだが、元の強さみたいなものが、失われてしまうことが多い。
デモのときにはあった、「強さ」みたいなものがない。
いつも、そんな気持ちになりながらも
「まあ、クオリティとしてはこっちだよな」なんていう気分で、制作を終える。
というようなことを伝えたかったんだけども
いい機会だし、放っておけば、そのまま失われた曲になっていたわけで
「Over」というタイトルの付いていた、デモの曲を置いておきます。
と、振り返って、いまも聴いてみると
リズムの打ち込みとか、音色とか、甘すぎて、恥ずかしくもあるんだけど
それを直していたら、意味がないし、結局、ずーっと修正を続けてしまって
デモの曲ではなくなってしまうので、そのまま、で。
デモとはいえ、それなりの音はしておりますので
ダウンロードして、オーディオセットなり、ヘッドフォンで聴いてください。
こういう楽曲は、PCのスピーカーで聴くと、さっぱり違う曲になりますので。
デモの曲を丸ごとの形で公開するなんて、初めて。
しかし、ほんとに、放置しておいた理由がわからないんだよね。
いま聴くと、もうちょっと展開持たせれば、と思ったりするんだけど。
ま、どうぞ。
Over (demo version) composed by Kenji Eno
しばらく更新していなかった、「eno music」のほうにも、置いておきます。
感想、求む!