穏やかな時間が訪れると
子どもの頃を思い出す。
子どもの頃の
特になにをしていた、ということではなくて
子どもの頃、持っていた時間。
子どもの頃、身に纏っていた時間。
ちょっとした、そのとき流れていた
空気のようなものに溶け込んで
すっと、世界の流れから取り残されたような瞬間の持続。
男も女も、変わるところもあれば
変わらないところもあると思うけど
子どもの頃のときの時間とか空気。
その切り取った思い出、みたいなものは
ずいぶんと、違うんじゃないかなあと、よく思う。
流れていく雲が、流れて遠くへ行ってしまうまで
ずっと、見続けていたのは、最後、いつだっただろう。
足が痛くて、道で止まって、ちょっと休んで
ぽつんと、空を見上げて、そんなことを思った。