いつの間にか朝になっていたので
庭に出て、深呼吸。
オフィスの庭は、まあまあ広くて
朝になると、カワいい鳥が遊びにきたりする。
だけど、今朝は来なかった。
庭には、草が生えているんで
よく見ると、虫とかがいたりする。
今朝も、誰かいないかなあ
なんて気持ちで、庭の奥の方へ足を伸ばした。
すると、カサコソっと葉っぱが動いている。
なにかいる!
すると、ぴょーんとなにかが飛び出した。
わあ、カエルちゃん!!
きゃわいい!
アマガエルちゃんじゃありませんか。
草の上に置いたプラスチックのバケツにジャンプ。
すごく小さい。
手足、細っ。
でも顔は、なんだか理知的な感じ。
詩人みたいな雰囲気もある。
しかし、カエルちゃんは思いの外ガードが堅い。
こちらが、ちょっとでも近づくと、ぴょんと逃げる。
こちらの存在がジャマなようだ。
ぜんぜん親しくなれない。
たぶん、構わないでくれ、と思っていると思う。
ずっと、じっとしているので、こちらもじっとする。
こちらが、じっとしている限界がきて、ちょっと動くと
あちらも、ぴょんと、ちょっと移動する。
どうにかなんないかなあと思うが
ちょっとずつ、ぴょんぴょんと、移動していく。
移動手段、ぴょんぴょんのくせにねえ。
ぜんぜん心を開いてくれない。
「こないだ、雨降ったでしょ?」
とか
「この庭、どうですか?」
とか、いろいろ会話してみたいものだ。
捕まえたり、叩いたり、ぜったいにしないから
もうちょっと距離を縮めたい。
せめて、近くで拝見したい。
……が、逃げていく。
建物のレンガにぴょんと移動すると
そのまま、ぴょんぴょんと跳ね、いなくなってしまった。
これが、彼の最後の写真。この後、ぴょんぴょんして消えてしまった。
ま、彼か彼女かもわからないんだけどね。短かったなあ。