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October 05, 2006


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焼き芋

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日本代表対ガーナ戦。
19時20分にキックオフ。
急いで宿題を終わらせた息子と、ソファに座ってテレビ観戦。
何年か前まで、オフサイドの意味どころか
対戦「国」という概念までわからなかった息子が
「川口、川口」と喜んでいる。

ガーナは、今の対戦相手にはいいチームだった。
若い日本代表選手たちが、自分たちの形を作り始めている。

前半5分。
ガーナのゴールキックがそのまま前線へ流れてしまう。
水本の頭が届かずクリアミス。ジャンが振り向きざまに右足で強烈なシュート。
あまりの威力にソファにのけぞる。

すると、開いた窓から、なにやら声が聞こえてきた。
マイクを使った、歌うようなおじさんの声。
「い〜し、やき〜いも〜」
焼き芋屋だ。
近くに焼き芋屋がいる。

焼き芋屋はなおも歌い続ける。
目はサッカーだが、耳は焼き芋ソングへ。
だんだんと、焼き芋が気になってきた。

「い〜し、やき〜いも〜、やきたて〜」

焼き芋、うまいかなあ。
焼き芋、うまいかもしれないなあ。
甘くて、ホクホクで、暖かくて。

「い〜し、やき〜いも〜、おいしいよ〜」

でも、大事なサッカーが。
だけど、パッて買いに行けば5分だよなあ。

と、息子を見ると、目が合った。
全く同じことを考えていたようだ。

ほぼ同時に「買いに行く?」と息が合い、ダッシュで靴を履いて玄関を出る。
ダダダダダーと買いにいって、「1本くれ!大きいやつ!」。

息子がいなかったら、焼き芋を買ってはいなかっただろう。
息子がいなかったら、大好きなサッカーを中断することはまずないだろう。

だけど、息子がいなかったらという選択肢はない。
息子がいるんだから。
だから、焼き芋を買いに行った。

僕のこの10年くらいの変化って
サッカーをただ熱心に観るか
焼き芋を食べながら観るかという、違いなのかもしれない。

焼き芋は、暖かくて、甘くて、美味しかった。


Posted by eno at October 05, 2006 01:39 PM


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