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July 16, 2006


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海と父

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朝起きたら、モーレツにどこかへ行きたくなった。
自然の緑とか青を、目に入れたい。
自然の緑とか青を、感じたくて、身体に受けたくて仕方がなくなる。
がまんはできない。

そういうことがよく起こる。
突然に「アウトドア! 自然!」と思ってたまらなくなる。
それは、例えば、カレーがどうしても食べたくなるとか
たこ焼きがどうしても食べたくなるのと似ている。
インドアが多いので、身体がバランスを取ろうとしているのだろうか。

と、11時に出発!
起きたのは10時なので、その1時間後に「出よう」との号令で
ついてくるのは、なかなか「家族」だなあと思う。
価値観とノリは99%くらい同じだ。
「突然今日」「今から」「どこか行こう」「列車乗って」
という全ての条件に「喜んでYES!」とならなければいけない。
会社だったら、YESマンばかりではいけないとか
違う考え方の人間が同じ役職にいないとならないとかいいますが
家族はいーんです。
"YES"でいーんです。

東海道線を、トコトコ、トコトコ、普通列車の快速で行く。
こういう旅は、行きは絶対、新幹線ではいけない。
「行き=新幹線」は素人だ。
それがわからないという人は、その周りにいる人たちも含めて
損をしている。させている。

「各駅停車には、やっぱり情緒が……」とか
「鉄道ってのは、ゆっくりな風情……」とか
そういうことを言っているんじゃない!
オレはそんなにまだ、ジジイじゃない。
まだまだ、感受性は枯れていない。

旅というのは、「DJ」に似ていると考える。
DJは、お父さんの係だ。お客は家族。
DJは客をアゲるわけだが
いきなりアゲを狙うのは違う。じっくりアゲていくべき。
DJが無理にアゲようとすると、客はついていけなくなる。
そして、丁寧にアゲていかないと、高いピークは得られない。

それが新幹線だと、ビューン!
いきなりビューンだ。
すぐ到着。はい目的地。
まだ盛り上がってないのに、旅先へ到着。
それは、だめでしょう。
だから、よほど遠いところではなければ、行きは「普通列車」で。
「普通列車」で、景色が変わっていくのを、目で見て感じる。
空気が変わっていくのを、呼吸で感じる。
そうやって、丁寧に盛り上げていく。

「行き」に「新幹線」がいけない理由は、もうひとつ。
お父さんにとって、新幹線は「ビジネストレイン」なのだ。。
新幹線はお父さんのビジネス時のアイテムだ。
OFFの日にONのアイテム。
だから、興奮しない。興奮できないのだ。
お父さんが新幹線の中ではしゃがないのは、それが理由。
帰りは元気がないから、いずれにせよ、はしゃがないけど
行きが新幹線以外だったら、笑顔の数が違うはず。
お父さん自身が、気が付いていない場合があるから注意。

終着駅。
海があった。
海に入れたらと用意をしてきてよかった。
すぐに、海があった。
大勢が楽しそうにしていた。

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海で、息子が遊んでいるのを、ぼーっと見る。
ただ、ぼーっと眺める。
あまりに平和で、「息子が事故にでも遭うのでは」と思えてしまう。
少しだけ苦しくなる。
ぼーっとしたまま、視線が、上空高く離れていく。

息子にとって、「夏の家族旅行」という思い出ができた時
その「父親」役って、オレなんだなあと、突然思う。
それが、すごく、複雑に感じてしまう。
なぜか、申しわけない。
オレ、まだ、そんな立派なもんじゃないなあ。
自分の父親に比べたら、人間できてねえなあと、よくわかる。
ほんとごめんな、息子。
精一杯は、やっているんだけど。


Posted by eno at July 16, 2006 11:24 PM


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