海外のメディアからインタビューを受けることが、たまにある。
海外のメディアの対応で、難しいのは、英語力ではない。
生放送とかでなければ、どうにか自力でがんばればよい。
おかしな英語は、まともな英語に直して記事にしてくれる。
或いは、ディテールまでしっかり伝えたいなら通訳を付けてもらえばよい。
だけど難しいのは、「面白いインタビュー」にすることにある。
例えば
「『きみとぼくと立体。』、任天堂さんとの作品とは驚きました」
と、インタビュアーに言われたとする。
それに対して、日本のメディアからの取材であれば
「オードリーがDSiのCMに出てるのと、どちらが違和感あります?」
とか言えばよいわけですが(なにが「よい」のかわからないけれど)
これが、英語というか、海外メディアだと難しい。
それは、「海外のタレントを知らない」という意味ではなく。
もちろん、いくら知っていても
的確なところに、ボールを投げられるはずはないから
そういう発言が、できないわけだ。
ちなみに、この「タレント方面」というのは例えがしやすい。
「開発は何名くらいで?」とか訊かれたとき
「エグザイルくらい。あ、増えたほうの」とかね。
(実際には、開発の段階で増減するから、難しい質問なんだよね。
あと、テストプレイヤーとか、ちょっと関わる人とかもいるわけで)
この「面白くする」というのは、ただ単に面白ければ、というだけではなく
上記のように、応えるのが難しい、或いは、真面目に応えても
面白くなくなってしまう、という質問に対して、とても有効である。
例えば
「一緒に仕事されてみて、任天堂さんという会社はどうでしたか?」
みたいな質問は、困る。
正直なところ、ものすごく僕としては、有り難いコラボレーションだったし
学ぶことも多かったし、少なくとも、僕が会った人たちはいい人ばかりだった。
だから、それが僕の正直な意見である。
......だけど、正直にそう応えても、なんというか、照れくさいし、ウソくさい。
とはいえ、無理矢理、客観的な視点に立つのも、なんか違う気がする。
であるから、正直に応えるか、「知るか!」と言うしかない。
だから、そんなときは
「そうですね。思い切り走りたいときはBボタンが用意されているような雰囲気でした。
怒られて小さくなったり、誉められて大きくなったりの連続でしたので
しゅん、となったときは、いつもキノコを探してました。
もちろん、コインも探してたんですけど(笑)」
とか言えば、なんだかわからないけど、まあ面白いからいいや、みたいな感じになる。
こういう「逃げ」にも、有効なわけだ。
話が逸れちゃったけど......逸れてもないか。
こんなことが、海外のメディアを相手にすると、かなり厳しい。
例えば、上の例だと、かなり「言い回し」が上手じゃないと、うまく伝わらない。
単に「頭のおかしな人に会っちゃったな」みたいになってしまう。
こういう話は、スラスラスラと、相手の表情を見ながら話すから面白いわけだ。
だから、通訳を通して、なんていうのは意味がない。
或いは、通訳の人の能力、に頼ってしまうことになる。
以前、そういえば、ヨーロッパのメディアから取材があって
日本とアメリカとヨーロッパのマーケットの違い、みたいなことを訊かれたとき
なんとなく勝手に、ヨーロッパの人だから、ポリティカルな話題が好みかなと思って
思い切り、ポリティカル、かつ、ブラックな応えを返して、ドン引きされたことがある。
難しいものだ。
ちなみに、ちょっと前のものであるが
最近の海外のもので、最もロングインタビューだったのが、下記の取材。
<<ここをクリックすると、1up.comの、ロングインタビューにジャンプします>>
実は、これが初めて「家庭用ゲーム業界に復帰します」と明言したインタビューなんですよね。