荻窪へ行く用事があったので
その帰り、ラーメン屋『春木屋』にいった。
僕が最初に春木屋にいったのは、いつの頃だろうか。
たぶん、15歳くらいの頃だと思う。
どんな本だったのか、あまり覚えていないのだが
いろいろな美味しいお店が載っている本があり、それを買った。
そこに春木屋が載っていた。
もちろん、その本には、ラーメン店以外にも
フレンチもイタリアンも、和食も中華も載っているわけだが
当時、子どもだった僕に、高級店など通えるはずもなく
文章を読んで「美味しそうだなあ」と思っていくことができるのは
ラーメン店か、洋食のお店だった。
その本に載っていたラーメン店で、なんどか行ったお店で
いまでも覚えているのは、『春木屋』以外では
新宿の『桂花ラーメン』と、秋葉原駅前の『いすゞ』。
(『いすゞ』はその本に出会う前から行っていた。
いまは、なくなって店名変えて移転してしまったが)
スープをすする。
うん、美味しい。
春木屋に来たのは久しぶり。1年ぶりくらいだろうか。
15歳の頃に初めてきてから、何度来ているんだろう。
当時は、いまの店長とは違う人が店を仕切っていた。
いまよりも、もっと店内がキリっと緊張していたように思う。
もしくは、僕が、まだ子どもだったからそう思ったのか。
あと、当時、印象に残ったのは
お冷やの水の追加がものすごく早かったこと。
いつ行っても、いつコップの水が少なくなっても
あっという間に、継ぎ足された。
最初に春木屋に行ったときのことを覚えている。
ラーメンを食べ終わって水を飲むと
もう1杯、水を飲むか(言葉は忘れた)と言われたこと。
なんでかわからないけど、それがすごく記憶に残っている。
スープをすする。
メンマを食べる。
麺を食べる。
スープは、ゆっくりとだが、実はずいぶん変わってきているように思える。
もちろん、その芯みたいなものは変化はないんだけど。
メンマは美味しい。
持ち帰りの300円パックを買おうかといつも思うが、今日も買わなかった。
麺は、昔は、もっと、もちっと、ぷるっとした感じがあったように思うが。どうだろう。
ラーメンを食べ終え、コップの水を飲む。
すると、「もう1杯、お継ぎしましょうか?」と訊かれた。
実は、その台詞で、子どものとき、来た頃を思い出したのだ。
変わらず、いつまでもあり続けてほしい。
お勘定を払う。
中華そば800円+メンマ小鉢100円+味付玉子100円=1000円。
たしか、子どもの頃来たときは、中華そばは、350円だった気がする。
倍以上になったのかー。
ずいぶん高い気もするが、美味しいからいいやという気もする。
無くなっちゃうようなことがあったら寂しいから
なんでもいいから、ずっと続けてくれ、と思って、千円札。
少し笑顔で「ご馳走さま!」と言い、店を出た。