カントの『永遠平和のために』を読む。
以前に読んだときは、正直、そこまで印象に残らなかったので
現在は、それだけ、平和に対して考える状況になったということだ。
世界も変わってきたし、自分も変わってきたのだろう。
『純粋理性批判』など、批判シリーズをを書き終えたカントが
本書『永遠平和のために』を著したのは、なんと71歳になったとき。
なにより、この極めて具体的で、モダンで、わかりやすい書が
書かれてもう、210年以上経っているということに驚いてしまう。
まるで、いま、この世界に対して、投げかけている書籍のようだ。
「平和とは、すべての敵意がなくなった状態である」とカントは言う。
「いかなる国も、他の国に対して、武力で干渉してはいけない」とカントは言う。
「紛争のために、国際を発行してはならない」とカントは言う。
素晴らしい。
まるでいまの世の中を見て、書いているかのように思える言葉ばかりだ。
世界中の国のリーダーが、いま読むべき本だろう。
どのページの、どの言葉を読んでも、深く突き刺さり、考えさせられる。
完全な平和が訪れる、というのは難しい。
この地球という星の上に、暮らしも宗教も言語も異なる
たくさんの人間が住んでいるからだ。
難しいからこそ、平和に対して、永遠に努力をしなければならない。
カントは言う。
「隣合った人々が平和に暮らしているのは
人間にとってじつは「自然な状態」ではない。
戦争状態、つまり敵意がむき出しというのではないが
いつも敵意で脅かされているのが「自然な状態」である。
だからこそ、平和状態を根づかせなくてはならない」
国際連合の設立に繋がり、日本国憲法にも反映されたという、この本。
いま、ぜひ、ご一読を。