ちょっと前の話しになるけど
新幹線での移動と、台風が重なった。
正確には、台風が去った次の日だったのだが
前日の台風は、新幹線が止まったり、ダイアが乱れたりして
その日の午前中くらいまで影響していた。
そんなことから、東京に来ていた人が帰れなくなったり
朝、新幹線を予定していた人が、乗れなかったりして
普段では考えられない人数が、新幹線に乗車することに……。
いつもは当然、事前にチケットを買うんだけど
ダイアの乱れがあったので、ちょっと早い時間に駅に向かって
一番早く着く新幹線のチケットを取ろうとすると、なんと満席。
グリーンも普通車も、ぜんぶ満席。
というわけで、仕方なしにホームの自由席サイドに向かうも
ハナから諦めがついてしまうような、人の列。
列車がやってきて乗車し、出発するも、当然のように、すごい人。
廊下だけではなく、デッキまで、人が溢れている。
よく、帰省ラッシュとかのニュース映像を見るけれど、その比じゃない。
人と人との密接具合や、人によっては昨日帰れなかったとか
ホームで1泊したとか、取引先との関係がまずくなったとか
家族に会う時間が遅れてしまったとか、いろんな理由があると思うけど
なんだか、かなり気まずい雰囲気。
暫くして、新横浜駅に着く。
降りる人は誰もおらず、さらに乗る人はアリで
ちょっとした殺気すら感じてきたので、ちょっと避難。
乗ったのが新700系だったので、喫煙スペースがあった。
廊下を挟んで、左右に喫煙スペース。
それぞれ2人ずつ、無理すれば3人入れるスペースに、誰もいない。
誰もいないというのは、喫煙者がいないのではなく
あまりの人の多さに、その近くにいる人以外は来れない、という状況。
喫煙スペースに避難して、本を読んでいると
それを見た人が、やってきた。入ってきた。
お、その手があったか、という感じで。
閉ざされた喫煙スペースに、彼と2人。
いきなり話しかけてくる。
20代、半ばくらいかな。
「混んでますねえ」とか「どこまでですか?」とか。
そんなちょっとした会話なんだけど、なんだか嬉しかった。
「金曜日って、こんなに混むんですか?」と言うので
「違うよ、金曜ってのもあるけど、台風だよ、台風!」
「台風ですか?」
みたいな会話も交わしつつ、いろいろ喋った。
ふと思う。
なぜ、電車って、誰も会話しないんだろう。
新幹線だけではなく、普通の列車だって
「そのシャツ、格好いいですね」とか
「今年は夏が長引きそうで、秋を飛ばして、冬になるそうですよ」とか
「昨日、ぷっすま見ました?」とか
そんな会話をしてもいいわけだ。
静かに黙って、座っていたり、立っていたり
ケータイでメールしたり、ゲームしたりしているより
どこの誰だかわからない人と、出会ったり、会話したり
そんなことのほうが、楽しそうだ。
だけど、どうして誰もしないんだろう。
というか、自分もしないわけだ。なぜだ?
「話しかけられるのはいや」という人のほうが多いのかなあ。
もしくは、そういう人がある程度いるから
それを考えたら、話しかけづらいのかしら。
女性専用車両というのがあるが
「オープン車両」というのを作ったらどうだろう。
オープンな気構えの人が乗る車両。
ちょっとした数駅、数分、十数分のコミュニケーション。
なんだか、そんな世の中のほうが、面白い気がしてきた。
専用車両が難しいなら
「Let's Communicate」とか「I'm Open!」とかいうバッヂでも作って
そういう運動を起こすのはどうだろう。
犯罪の元になる、とか言い出すのかなあ。
なんだろう、この社会。
僕たちは、この社会を、どんな社会にしたいのだろう。
いまの社会は、そんな社会なのだろうか。
どうすれば、気持ちいい、毎日が楽しい、社会になるのだろう。
昨晩、大堀こういちさんと、温水洋一さんによるユニット「O.N.アベックホームラン」
による芝居、「セプテンバーホール」を観にザ・スズナリに行った。
狂ってはいるが平和で暖か、という独自の世界を楽しんだ。
シンプルで効果的な、舞台装置もよかったなあ。
もうちょっとぶっ飛んでほしかったなあ、というのが正直な感想。
大堀さんの笑顔は、ほんとにいいね。
東京公演は終わり、明日の12日は大阪のシアター・ドラマシティであるそうですよ。
暖かなくだらなさが好き、という人はぜひ。