「細野晴臣と地球の仲間たち」に行く。
夏を感じる暑さの、日比谷野外音楽堂。
〜空飛ぶ円盤飛来60周年・夏の音楽祭〜
と題してあるが、早い話が、細野さんが生まれて60年。
トリビュートアルバムも出たいま
そして、細野さんの次のプロジェクトが動き出すいま
みんなで細野さんの曲を楽しもう、祝おうという会だった。
ライブ前半は、トリビュートアルバム参加の方々による
細野さんの曲の大カヴァー大会。
愛があった。野外という良さもあり、オープンで楽しかった。
暑かったけど。
イベントの開演挨拶で、細野さんに加え、坂本さん、幸宏さんが現れる。
「うわ、いきなり?」と思っていると、ヴァン・ダイク・パークスの登場。
出演は知っていたんだけど、心の準備ができていない。
「えーと、落ち着け、落ち着け」と、思っているうちに曲が始まる。
参った。やられた。サンディがボーカルだし。
彼の初来日を見にいったのは、もう19年前。たしか同じ7月だった。
曲を聴きながら、あの頃を思い出してしまう。
すごく不安定だったなあ、あの頃。そんな気分まで蘇る。
その後、いろいろなアーティストが登場し、楽しませてくれた。
もうちょっと1曲ずつ、しっかり感想を書こうよ、という気もするんだけど
あまりにも多くて。思うこと多くて。見に行った人、みんな書いているだろうし。
しかし、1出演者1曲で、はい次、というのはすごかった。
豪華な音楽番組か、と思う。
途中、休憩を挟んで、後半へ。
後半は、細野さんメインのライブ。
そういう構成だとは知らなかったので、プレゼントのように感じる。
後半。
細野さんのバンドが、未知との遭遇の、あの5音階のテーマで始まった。
映画『未知との遭遇』を、亡くなった親父に連れられて行ったことを思い出す。
いま考えたら、そのとき、まだ7歳だ。
特別編でもう1回観たときも、まだ10歳。すごい親父だなあ。
やはり親父の影響は大きいなあ。自分もがんばろ、なんて思っていると
「ハリー・ホソノ&ザ・ワールド・シャイネス」、オンステージ。
超カントリー。カッコいい! そうだ、これが細野さんだ!
後半になって、細野さん自身のオンステージになって
やっと、なにかが目覚めてきた。
自分の中にいる、細野さんが目覚める。
僕は「YMOで育った」とかよく言っているけど
もちろん、「YMOで」に加えて、「細野さんでも」育っている。
細野さんのアルバムも、子供の頃から死ぬほど聴いた。
自分の中の細野さんが、ムクムクと大きくなっていく。
静かに興奮していると、ボディ・スナッチャーズが聞こえてきた。
カントリーで。これは不意打ち。殴られたようだ。この日、初涙。
どうも涙腺、弱くなってる。ていうか、思い出すこと多すぎて。
年取るって、いいかもなあ、と思う。
細野さんに、それを教えられているのかしら。
終盤、ヴァンダイク・パークス再登場で、The Four Mills Brothersを歌い
そして、幸宏さんが登場して、なんとカントリーでSports Men。
もう、なんだかわかんなくなっていく。ちょっと濃すぎ。
ちょっと待った。
……と、ここで気付く。そうか、これは細野さんのショウだ。
最後は、なんと全員で「さよならアメリカ、さよならニッポン」。
懐かしすぎ。2回目の涙。どうやら、僕は不意打ちに弱いらしい。
これで、はっぴいえんど、というメッセージか。
国立競技場の再結成、行けずにラジオで聴いたなあ。
録音して何度も聴いたなあ。
なんか、忘れてたこと、いっぱい思い出したわ。
打ち上げで、細野さんと語る。
細野さんと、こんなに長く会話したの初めてじゃないかなあ。
語った内容は、僕のUFO体験が中心なんだけど。
その後、共通の友人が遅れてやってきて、幸宏さんと飲んだ。
酒、飲みながら、幸宏さんと会話したのが嬉しかった。
細野さんとUFO飛来の60周年のイベントだったが
自分の人生を振り返るイベントでもあった。音楽ってすごいね。
なにより、細野さんが元気で音楽をやっていることが幸せ。
そして、僕の尊敬する3人が、笑顔で会話したり、抱き合ったりしているのが
もうたまらなく、なんとも言えず、嬉しくて嬉しくて
この日、3回目の涙となった。
ありがたいことだ。長生きはするもんだ。……まだ短いか。