オフィスの窓を開けていたら
遠くから「ぱぁーぷー、ぱぁーぷー」と音が聞こえた。
豆腐屋だ。
渋谷区とは思えない音だが
恵比寿南地区には、豆腐屋がくる。
でも直接会ったことはないので
豆腐屋だと思わせておいて、ぜんぜん違うかもしれないし
どこかの子どものおもちゃかもしれない。
先日、水を売っている人に会った。
その人は、水を、長野だかどこかから汲んできて
レストランやカフェやパン屋さんなどに売っている。
そういう商売だ。
ほんとに美味しい水源を知っているんだろうし
その人のキャラクターや人脈が大事なのはわかっているけど
「水を売る商売」というのには、考えさせられた。
考えたこともなかった。
豆腐屋と思われる、「ぱぁーぷー」という音が
だんだんと遠くなっていく。
カラスの「カァカァ」という鳴き声が聞こえてきたが
互いに交わるようで、まったく交わらない。
豆腐屋の「ぱぁーぷー」は、機械のように、単調にそれを繰り返し
カラスの「カァカァ」は、話し言葉のように、複雑な音階とリズムで届く。
いずれにせよ、平和な夕方だ。