年末から家族で台湾へ行ってきた。
行くまでは、勝手に、台湾というところは
上海と香港と韓国を足して割ったようなものだと思っていたのだが(失礼)
行ってみるとずいぶん違って、台湾は台湾だった。
台湾にしかない台湾らしさがあった。
ざっくり言うと「ゆるいとこ」だった。
その「ゆるさ」が、鋭くズドーンと、自分に響いた旅行だった。
台湾は、いろんなことがゆるい。
どこに行っても、なにをしてもゆるい。
ゆるいとか、ぬるいとか、そういう類。
しかし、決して、たるいとか、だるいとかいうわけではない。
最初はそのゆるさに、かなり戸惑った。
仕事を終えて、東京からピューンと、たった4時間くらいで行ってしまうので
ちょっと前までのビートとかスピードとの違いにかなり戸惑った。
日頃、ずいぶんとせっかちに生きていた自分に気付く。
自分の他に対する厳しさとか、明確な答えを求めてしまう態度に気付く。
台湾はバイクが多い。バイクというより原付がたくさん。
年末年始というタイミングだったから余計なのかもしれないけれど
びっくりするくらい原付ライダーがいっぱい走っている。
タクシーに乗って移動すると、常に前後左右に原付がいるという、そういう感じ。
横の車の間から原付がグーンと出てきたり
サッと原付がタクシーの前に割って入ったりする。
こちらはいつもの調子なので、「うわ危ねぇ!」とか「なにすんだ?」とか思うが
誰もクラクションを鳴らさない。
カリカリしていない。平和なのだ。
暖かいからかなあとも思うが、そういう場所なんだと、だんだん理解していく。
駅で特急列車を待つ。
日本だと、ほぼ正確な時刻にピッタリ列車が来る。
例えば、ルーマニアだと、思いっきり30分くらい遅れたりする。
台湾は、そういうルーズな感じはない。
が、必ず2分とか3分くらい遅れてやってくる。
しかし、時間になると気になって「あれ? 来ないのかな?」とか思ってしまう自分がいる。
麺類を食べてもそう。
麺の茹で時間が命、という感じで、ピシっとしたものが出てくることはない。
かといって、グデングデンな状態というわけでもない。
しかし、「もうちょっと麺が固かったらなあ」と思ってしまう自分がいる。
炒飯を食べてもそう。
ご飯がパラっと上手ねとか、塩味のバランスが絶妙とか、そういうことはない。
だけど、マズいわけではない。それなりに美味しい。
しかし、「もうちょっとシャキッと作れないのかな」と思ってしまう自分がいる。
ホテルのフロントも、「私はホテルマンですから」みたいなピシっとした感じはない。
じゃ、愛想が悪いとか、サービスが悪いとかというと、そういうわけではない。
しかし、部屋のカーペットのクリーニングが、隅々までは出来ていなかったりする。
「おい、ソファの横、ちゃんと掃除してくれよぉ」と思ってしまう自分がいる。
そういう連続。
そんなことを繰り返して感じているうちに
「単に自分が、ちょっと厳しすぎるとか、せっかちすぎるとか、細かすぎるのでは?」
というふうに思えてくる。
自分を問う、自分の声が聞こえてくる。
「細かくて、ピシっとしていて、パキっとしている、厳しい世界と
ちょっとダラっとして緩いけど、気楽でピースフルな世界と、どっちが好きなの?」
あれ?
オレはどっちの世界が好きなんだ?
オレはどっちの世界に暮らしたいんだ?
そんなことを、めちゃくちゃ考えさせられた。
自分にとって、これからの生き方を考えるきっかけとなる、良い旅行だった。