飛行機での移動。
雲の上には別の世界が広がっている。
いつもとは違う世界がそこにある。
まるで世界の舞台裏を覗いたような
いつもとは違う世界。
何もない世界。
飛行機はそこを飛ぶ。
いつもの世界から、そこの世界を通って
また、いつもの世界へと向かう。
飛行距離が短い場合は、あまり高い高度は飛んでくれないが
長距離のフライトでは、かなり高い位置で巡航してくれる。
雲のちょっと上ではなく、雲のまあまあ上が好きだ。
あの何もない世界に行きたいなあと、たまに思う。
いつもの日常、地上には、いろんなものがある。
人もいっぱいいるし、車も走るし、ビルなどの建物もいっぱいある。
自然が作り出したものもあるし、人間の脳が作り出したものもある。
いずれにせよ、いろんなものが、いっぱいある。
雲の上の世界は、「何もない」という感覚になる。
静かな世界。
蒼の世界。
何もない。誰もいない。
いつも住んでいる対流圏から上がっていくと
もうすぐそこには成層圏という世界。
窓に遮断された向こうの世界へ心だけ飛んでいく。