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June 05, 2008


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レニー・クラヴィッツ

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先日、初めてお会いした人と
音楽好き、ということで、エラく盛り上がった。

お話をしていく中
ある言葉、というか、ある人物の名前が思い出せなくなった。

そう、「ど忘れ」だ。


歳を取れば、取るほど、「ど忘れ」が酷くなるが
最近、さすがにこれは、出てこない場合じゃないよなあと
いうものまで出てこなくなる。

忘れているのに、忘れているものの重要度がわかっているなんて
なんとも、不思議なものである。


「ど忘れ」したのは、レニー・クラヴィッツ。
ヴァネッサ・パラディを、ど忘れしてしまうなら、まだわかるが
レニー・クラヴィッツが出ない、というのは酷い。

その話相手に、とあることを説明したくて
レニー・クラヴィッツという名前が必要だったのだが、まったく出ない。

相手も、「どうしたんですか?」などと、心配している。

「いや……、あの……、えーと、名前が出ませんで……」なんて言うと

「誰のことですか? どこ出身のミュージシャン?」と
ど忘れしているというのに、さらに難しいクイズを出されてしまう。

「んー、たしか、ニューヨーク? いやLA?」

「どんな曲がありますか?」

なんて調子で続く。


頭の中では、「Are You Gonna Go My Way」が、ずっと鳴っている。

というか、あの顔が、僕の目の前に迫っている。
ギターを弾きながら、歌いまくっている。

こんなパッキリした、超わかりやすいイメージが目の前にあるというのに
しかも歌っているというのに、なんで、名前が出ないんだろう。
この顔だ。

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ここで、ちょっとモノマネでもしながら
「Are You Gonna Go My way」を歌えば、相手は100%正解するだろう。
答えを言ってくれるだろう。
楽になる。

しかし、それは、ちょっと悔しい。

「えー、有名な歌でして、僕の頭では、さっきからずっと鳴ってまして
 たぶん、歌えば、すぐにわかると思うんです……だけど、ちょっと言いたくない……」

「えっ? どうして?」

「く、悔しくて。いや、正解を言われるのが悔しいんじゃなく、自分に悔しく。
 こうやって出ないのも苦しいんですが、悔しいより苦しいほうがまだマシ」

なんて、わけのわかんない会話が続いた。


思うのだが、「ど忘れ」というのは、なんて不思議な現象だろう。

正解がわかっているのに、正解がわからないわけだ。

いろんな名前が頭を過ぎ去って、「いや違う、それでもない」なんて
思ったりするわけだから、ある意味、正解がわかっている。

ひとりで、クイズの出題と回答をしているようなものだ。
それが、「ごっこ」ではなく、マジだから、脳というのは面白い。

しかも、「レ……! あっ! レで始まる……気がする……!」
なんて、自分でさらにヒントも出したりする。

これはなんだろ。なんなんだろう。


「忘れる」といっても、完全にロストしたわけではない。

名前は忘れても、ビジュアルは残っていたりする。
レニー・クラヴィッツの場合は、歌まで歌っていた。

だから、違う名前を思いついても、マッチングから外れる。
「これは違う!」というのはわかる。
しかし、正解は出ない。


そして、ずーーーーっと、頑張り続けていると、正解が出たりする。

僕の場合も、しばらくしたら「レニー・クラヴィッツだ!」と、出てきた。

かなり、うーん、うーんと唸って
話相手と、コントみたいなクイズみたいな会話を続けた後、出た。


「あっ! レニー・クラヴィッツ! レニー・クラヴィッツ!!」


しかし、残念なのは
そこまでして思い出した、レニー・クラヴィッツではあるが
そこまでして続けるような、会話のネタではなかったことである。


「で、レニー・クラヴィッツがどうしました?」

「いや、もういいです。すいません」



Posted by eno at June 05, 2008 04:33 AM


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