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February 18, 2007


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『スーホの白い馬』

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息子の宿題、音読。
国語の教科書から1話、声に出して読む。

親はそれを聞く役で
聞き終わったあと、カードに採点をする役でもある。
「大きな声で読めたか?」みたいな質問に、「◎」とか「△」とか。


読むのは『スーホの白い馬』という物語。

「馬頭琴」という楽器が生まれた理由が語られる作品とのこと。
モンゴルの民話らしい。


ソファで読む。ソファで聞く。
こちらは、仕事で疲れているので、寝転びながら聞く。

物語は、モンゴルの貧しい羊飼いの少年、スーホが
白い子馬と出会うところから始まる。

やがて、子馬は大きく育ち、スーホと仲良くなっていく。

息子の読書の声を聞いているうちに、だんだんと眠くなっていく。


スーホと馬は、王様が開催する、競馬大会へ出場することになる。
目を閉じながら、場面を想像する。

競馬大会。賑わう観客。挨拶する王様。
そして主人公スーホが、仲良しの馬に乗って、登場する。

すると、衝撃の事実。
優勝した者は、「王様の娘と結婚」できるということらしい。
えっ、それがモチベーションだったのか。
しかし、すぐに、気持ちを切り替えて、感情移入する。


競馬大会がスタート。
がんばれ、スーホ。
勝てば、王様の娘と結婚だ!
美人の娘。そして金持ち。逆玉の輿。

貧しい羊飼いも卒業だ。IT起業だ。ベンチャーだ。


そして、レースに勝つスーホ!
まぶたにスーホの喜ぶ姿が浮かぶ。
やった!
嫁はもらった!
貧しい羊飼いが王家入りだ。
アメリカンドリームならぬ、モンゴリアンドリームだ。
君は、モンゴルの星だ!


しかし、王様が突然の苦言。
スーホがあまりにも貧乏だから、娘はやれんと。

えぇーーー!!
「ノー・ゲーム」の突然告知。
貧乏だからがんばったのに。
金と女のために、羊飼いだというのに、毎日、馬ばかり乗って
ずっとずっと練習してきたのに。
貧乏だから、ダメって……。

しかし、「スーホはいらんが、馬は欲しい」と王様。
王様はスーホの馬を気に入ってしまった。
「その馬を寄こせ」
無茶苦茶だ。
東京マラソンで優勝したと思ったら
石原慎太郎が出てきて
「なんか君、東京っぽくないから、優勝取り消しね」と言われ
「お、その靴いいじゃん、寄こせよ」って。

スーホは嫌がる。
「この馬は渡せない」と。
そりゃそうだ。めちゃくちゃだ。
すると、王様は「じゃ、銀貨3枚で売れ」と言う。
金で解決だ!
ヤクザ映画か、これ。


スーホは断る。
金じゃ買えないものがあると。
しかし、「ごちゃごちゃ言うな貧乏人」と
家来に暴力をふるわせる。
最低だ。自分で手すら出さない。
そして、白い馬は、当たり前のように奪われてしまう。

泣くな、スーホ。
そりゃツラいだろうよ。
大事な馬は持って行かれる。プライドもズタズタ。
さらに暴力までふるわれた。
スーホは、かなり落ち込む。
がんばれ、スーホ!
間違っても、ヘンな気、起こしちゃあかんぞ。

……ていうか、いつ楽器が出てくるんだ?
馬頭琴の発明ストーリーじゃないのか?


暫くした後、白い馬は王様の元から逃げ出そうとする。
スーホに会うために!
しかし、家来たちは、逃がさないぞと弓矢を放つ。(死んじゃうじゃん)

白い馬は、やっとのことで、スーホのところへ帰ることができたが……
その身体には、何本も矢がささっており……
スーホの目の前で……死んでしまう。

うわー。死んだ。


スーホは夜も眠れない日が続く。

そして、ある晩、スーホは白い馬の夢を見る。
眠れないわりには、ずいぶん熟睡してるなあと思いながらも
スーホの夢を描きながら聞き続ける。


夢の中で、白い馬はスーホに言う。
「自分の身体を使って楽器を作れ」と。
「そしたら、ずっと一緒にいられるよ」と。

スーホは言われた通り
白い馬の死体を使って、楽器を作る。
それが馬頭琴。

うわっ!
ディープな話っ!


Posted by eno at February 18, 2007 05:47 AM


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