打ち合わせで札幌へ飛んだ。
いつものホテルで夕方から打ち合わせ。
とんとんと仕上げていくと、ホテルの横に流れる川で花火が打ち上がった。
打ち合わせを中断し、部屋の電気を消して、ビールを配る。
絶好のロケーションからの花火鑑賞に勝る打ち合わせなどない。
光の大輪がいくつも空に輝き、煙を残して散っていく。
僅かに開けることのできる窓から、音が遅れてやってくる。
川岸の観客の歓声が、花火のボリュームに応じて上がる。
夏の風物詩といっても、夜の札幌は気温20度以下。
どちらかというと秋の冷たさを感じる。
湿度も少なく、外で鑑賞する浴衣の女の子は肌寒そうだ。
札幌出身の人は「花火の思い出」も違うのだろう。
ムシムシした空気の、ゴミゴミした人の中
ミンミンと蝉が鳴き、シャリシャリとかき氷を食べるような
風景は花火の思い出ではないかもしれない。
花火が打ち上がり、花が開いて輝いた瞬間は
誰もが幸せそうな顔をする。
純粋な喜びしか存在しない瞬間。
何千人、何万人が空を見上げ
同じひとつのものを見て、わーっと喜ぶ。
この平和な夏が、これからも何度とやってくることを
心から願う。