ゆったりとした雨が降っている。
パラパラとでもなく、ザーザーとでもなく。
やみそうな雰囲気のまま、降り続ける雨。
雨が降ると、オフィスの庭でボーっとすることができないのが残念だが
雨が笹を揺らして、いい音が聞こえてくる。
前から薄々思っていたのだが、この「笹の音」って結構重要なのではないかと。
好きなリゾートとか、好きな公園とか
ここはいいなぁという場所には、笹の音があることが多い。
とあるリゾートでは、笹の音をデザインしていて
石の階段の横に、風が抜けるように笹林が配置されている。
プールや海から戻った客が、ビラに行く通路で
笹の音を聞くようにデザインされているのだ。
オフィスの庭の笹はそんなに立派なものでもないが
「音を聞く」という意味では、十分な効果を発揮している。
先日、とある旅館のコンセプト開発+価値設計の仕事をしたのだが
建物や空間のサウンドデザインについて、深く考えていなかったことを後悔する。
まだ設計段階なので、サウンドデザインについて深く突っ込むことに決めた。
目で見るものばかり、もしくは導線みたいなものばかり考慮しがちだけど
耳から入ってくる情報は、その空間を認識したり
心に訴えかけることに関しては、重要な要素だ。
先週、大阪に仕事で行った時
歩道橋のエレベーターに乗ったら、機械の鳥の声が鳴っていた。
新幹線のホームでも同じような設備があるところがあるが
かなりイマイチだ。
意味がないどころか、マイナスだ。
企画書の上で考えると、あぁなるのだろう。
そんな安っぽい設備で、「自然」が表現できるわけがない。
同じ周期で鳴く、鳥の声も、がっかりだ。
「鳥の声を流して、お客様をリラックスさせます」
なんて、企画書に書くほうも書くほうだし、通すほうも通すほうだ。
書くのも通すのも勝手だけど
どうせやるなら、一生懸命やってほしい。
それなら、本当に企画書に書いたような効果が実現できるかもしれないから。