いやー面白かった。
ものすごく満足した。世界に浸ってました完全に。
前から気になりつつ、今ごろになって読んだわけですが。
とても美しく、瑞々しく、清々しく、暖かく、希望のある作品。
といっても、以前何度かこのblogでオススメしました
伊坂幸太郎さんの作品のような、エンタメ方向の小説ではありませんので
「伊坂が面白かったから、こっちも買おう」とか思うと
好き嫌いあると思いますので、ご注意を。
といいつつ、小説が嫌いでない人なら皆に読んでもらいたいくらいの作品。
母と二人暮らしの中学校1年生の主人公、朋子が、家の事情で東京の洋裁学校に
通うことになったため、芦屋の伯母さんの家に預けられるという
その「家」での、1年間を描いたお話。舞台は1972年。
お世話になる芦屋のその家は、山の上に建っている洋館だったりして
伯父さんは清涼飲料水の会社の社長だったり、おばあさんがドイツ人だったり
お手伝いさんや庭師の方がいたりと、主人公は「昨日までの生活」と
「今日から1年間の生活」が、変わることになる。
それまでには体験したことのない生活の輪、家族の輪に入っていくことになる主人公。
そんなドキドキの毎日が、主人公に近い1つ年下の娘、ミーナとの交流を中心に描かれる。
これから読まれる方にもったいないんで、あまり書かないことにしますが
上のプロットだけだと、あまり面白い感じがしないんで、ちょっとだけ。
その家の娘、ミーナは「マッチ箱」を集めるのが趣味なんですが
ただ集めているわけではなく、マッチの箱の図柄から「物語」を作り出す。
ぜんそく持ちで、身体も弱く、自分の足で外へ出かけることもままならないミーナが
巧みな想像力で、マッチ箱の図柄から創造する、自分だけの「世界」。
その世界を、主人公、朋子に伝えることで、共有していく。世界が広がる。
マッチ箱の図柄〜
シーソーに乗ったゾウの物語。
三日月と二匹のタツノオトシゴの物語。
ガラス瓶に流れ星を集める少女の物語。
キャー! もうステキー!!
ステキすぎる。鼻血ブーと出る! 春巻き1本おかわり!
だめだ、興奮してしまった。
ちゃんと書こう。
そんなステキが、散りばめられた作品なんで
そういうとこだけで、もう買って&読んでいただければ充分なんですが
世界の構築がすごいわけです。
基本的には、伯母さんの「家」という、閉ざされた世界でのお話なんで
完全に閉ざされている世界で話は進む。なのに清々しい。どこも息苦しくない。
その家にいるミーナは病弱で、その世界はさらに閉ざされている。
そのミーナが描くマッチ箱の世界は、本来、さらに小さい構造になるんだけど
その創造性によって、この宇宙のどこへとも繋がっている。広がっている。
そこに、主人公である朋子が別の世界からやってくる、という構造。
さらには、回想という形式も含めての時間軸の世界構造。
主人公とミーナのそれまで過ごした時間と、出会ってからの時間。
1年間という限定された時間での2人の成長。
そして、そこから解放された未来である、今。
生活や文化なども含めた空間軸と、時間軸のそれぞれ世界の構造が見事で
空間と時間の、いずれも限定された、閉ざされたものなのに、広がりを持っている。
まあ見事。
みなさんも、ぜひステキ世界へ、どうぞ。
先日、伊藤たかみさんの『八月の路上に捨てる』を有隣堂に買いに行ったら
どこにもなく、探すと「女性作家」のコーナーに置いてあった。
「伊藤たかみ」という名が紛らわしいのだろうか。芥川賞までとったのに。
子どもたちを引率の土曜日。
(1人でしたわけじゃないけど)
小学校1年生と2年生の子どもたち10人以上。
知ってる子も、初めての子もいる。
電車に乗って、世田谷方面へ。
渋谷から僅かな距離なのに、多摩川近くは緑が多い。
空が広く、水も多い。
トンボがいっぱい飛んでいた。
駅までトコトコ連れていったり
駅からトコトコ誘導したり。
まー、言うこと聞かない。ていうか聞いてない。
まー、勝手に喋る、勝手に笑う、勝手に動く、勝手だらけ。
足にまとわりつく。手を引っ張る。リュックにぶら下がる。
やめろ! オレはそんな爽やかお兄さんじゃないぞ。
「コラ、やめんか!」というとウケる。
ウケてる場合じゃないぞ、コラ! リュックのヒモ、引っ張るなって!
余計に引っ張る。ぶら下がる。ぶらりんこ。
最初はただ連れていく役、危険から守る役
静かにさせる役、爽やか風味の役……だったのだが
だんだんと、子どもの世界に入っていってしまう。
世界が一緒になる。
子どもたち=よくわからん生物の集団、だったのが
子どもたち=同じ人間の小さい子の集団、というように変わっていく。
自らなにかのスイッチが入ったわけではなく、自然と繋がりができる。
まあ、同じ人間なもんで。まあ、自分も昔はそうだったもんで。
ちょっと目線を落として、ちょっと耳を向けて入っていくと
それぞれの個性がわかってくる。
リズム感のいいやつ。
動きで笑いがとれるやつ。
人を和ませる表情をするやつ。
注目を集めるのがうまいやつ。
うわー、おもしれえ。
みんな、いっぱいいっぱい人間なんだなあと感じる。
あたり前だが、それぞれ、ひとりの人間。
子どもたちではなく、子ども+子ども+子ども+子ども+………。
みんな、それぞれ小さい人間だ。
小さいだけ。
少しだけ経験が足りないだけ。
少しだけボキャブラリーが足りないだけ。
圧倒的に責任感がないだけ。
帰り道、ぶら下がり好きの子どもが、またぶら下がってくる。
「ねー、あと何分で着くぅ?」
「もうあと2分くらいだって。わかってんだろこの場所」
「ねー、もう1分経った?」
「経ってねーよ、お前、どんな時計持ってんだよ」
仕事で名古屋に行ったついでに、前から行きたい行きたいと思っていた
「味仙(みせん)」で、台湾ラーメンを食べてきた。
台湾ラーメンは、醤油、トンコツ、味噌などと並んで、いやそれ以上に
名古屋では、重要なラーメンの種類の1つである。皆が愛している。
名古屋=台湾ではないため、ご当地ラーメンとはならないが
名古屋には台湾ラーメンを出す店が多くあり、名古屋名物ラーメンとなっている。
その元祖といわれているのが、「味仙」の台湾ラーメンだ。
なんでも、最初は「まかない」だったそうで、作者=味仙の経営者が台湾人だから
「台湾ラーメン」というネーミングらしい。
確かに台湾の担仔麺に近いので、トルコライスよりは遠くないネーミングだ。
で、食す。
ズルズル……。
激辛と言われていたので、覚悟はあったのだが
確かに辛いが、そこまで激辛という感じではない。「辛いね」っていうくらい。
「蒙古タンメン中本」のラーメンでいったら、そんなに上のほうの辛さではないし
僕の大好きな芝大門の「味芳斎」の牛肉飯みたいなのを、激辛と呼ぶのだと思う。
(かなり美味しいので、辛いのが大丈夫な人は是非行ってみてください)
味のほうはかなり美味しかった。
当初期待していたよりも、遙か上をいく味。
「辛い」とか「台湾」とか、そういうことを意識しすぎていた。
そんなの全然関係なく、普通に美味しいラーメン。
いや、普通にじゃなく、あまり出会えない類の美味しいラーメンだった。
写真ではわかりづらいと思うが、かなりドンブリは小ぶり。
この小ぶり感が台湾式っぽさを出している。
味は鶏ガラのベースにラー油が浮かび、大量のニンニク+赤唐辛子。
そこにやや太いストレート麺、そして炒めた挽肉、ニラなど。
とにかくインパクトは、大量のニンニクと唐辛子系の辛み、そして挽肉の旨味である。
であるが、鶏ガラの出汁がしっかりうまいんで、単なる辛みラーメンとは異なる。
純粋な美味しさの上に、挽肉やらの旨味、そして辛みと、それぞれがしっかりと存在する。
「台湾ラーメンという辛いラーメンを食べに行こう、美味しかったらいいなあ」
などと思って伺ったのが、申しわけなく思える。
「辛い」という要素は、辛みの美味さが加わったほうがいいでしょう、ということで
まずは基本的に、純粋に美味しいラーメンだった。
名古屋食。
僕は前から「味噌カツ」に疑問を抱いていた。
「トンカツ+味噌」というアイデアだけに頼り切っているように感じるからだ。
例えば、東京のトンカツ屋では、新橋の「燕楽」のように基本が素晴らしい味がある。
もしくは、恵比寿の「キムカツ」のように新進気鋭のトンカツもある。
目黒の「とんき」のように、総合力の勝負もある。
だけど、名古屋の味噌カツは、そのカツ自体のクオリティの追求が弱いように思える。
これぞ「ザ・味噌カツ!」みたいなのを食べてみたい。
味噌のソースは美味しい。だが、どの店も「カツ」そのものはどうだろう。
カツだけを純粋に見たとき、素晴らしい出来の味噌カツ屋を知らない。
いや、もし、そういうお店があったら教えていただきたいんですが。
という中で、「味仙」の台湾ラーメン。
企画アイデア的な強さだけではない、純粋な美味しさに納得して名古屋を発った。
店の内装が、台湾ラーメンの彩り、そのものなんだよね。それにちょっとウケる。
昨日(9月19日)は、平民にも苗字が付いた日であった。
正確にいうと、江戸時代、武士やら特権を持った人だけが持っていた苗字が
平民でも持って良いよと許可されたのが、1870年の9月19日だ。
(許可されてもなかなか付けなかったので、その5年後に必ず付けなさいというお達しが出る)
現在、最も長い苗字は、「勘解由小路(かでのこうじ)」さんというらしく
昨日テレビに出ていて、覚えてもらいやすい反面、書くのが面倒くさかったと語っていた。
で、長い名前といえばニンテンドーDSのソフトである。
ちょっと無理矢理な繋ぎの気もするが、最近、その長さがちょっと気になっている。
来月の26日に、今さら人には聞けない「常識」を、毎日10分トレーニングするという
「脳トレ」の流れ的な、ニンテンドーDS用のソフトが出るのだが、そのタイトルが
『日本常識力検定協会監修 今さら人には聞けない 大人の常識力トレーニング DS』である。
これは長い。全長35文字のタイトル。
どこまでがタイトルなのか? という気もするが、正式にはこれがタイトルということだ。
以前だったら、このソフトのタイトルは『大人の常識力トレーニング DS』だったであろう。
それにしたって長い気がするが、それに加えてさらに
『日本常識力検定協会監修』と『今さら人には聞けない』がタイトルに付く。
例えば、このソフトを僕が作ったとして、いや、別に僕でなくても誰でもいいんだけど
普通にタイトルを決める段階になって、なかなかこうはしない気がする。
それこそ「常識」みたいなのがどこかにあって、なんとなく5文字から10文字前後にするだろう。
それが35文字。これはなにかの狙いがある。
1つは、「『脳トレ』からの流れ」を感じさせたいということだろう。
長いタイトル=長題は、そこからスタートしたともいえる、『脳トレ』のタイトルは
『東北大学未来科学技術共同研究センター川島隆太教授監修 脳を鍛える大人のDSトレーニング』だ。
これも長い。42文字。
『脳トレ』が長いのは、監修者名がタイトルに入ったのがその理由だが
この時も、すごいことするなあと思っていた。
入っていないときもあるんだけど。
その流れに続いてあったのが『えいご漬け』だが、
こちらは、『英語が苦手な大人のDSトレーニング えいご漬け』で、22文字。
これまでの2つに比べると短い気もするが、今までに20文字越えのタイトルはなかなかなかった。
普通に考えて「英語が苦手な大人の」もしくは「英語が苦手な」というのは
ソフトウェアのマーケティング上の、キャッチコピーである。
例えば『薔薇の要塞』という名前のゲームがあったとして
「家族で友達でズバババ遊べる 究極オンライン・シミュレーションゲーム」というのはコピーだ。
『家族で友達でズバババ遊べる 究極オンライン・シミュレーションゲーム 薔薇の要塞』とはならない。
しかしDSでは、「英語が苦手な大人の」とか「今さら人には聞けない」とかが入る。
これはなにか、大きな流れなのだろうか。
正式名称を長くすることのインパクト狙いなのだろうか。
単に『脳トレ』のヒットを連想させるだけの狙いなのだろうか。
インターネット時代、クリックする文字が色が変わることを狙ってのことだろうか。
こうやって、ソフト名はどんどん長くなっていくのだろうか。
DSは、任天堂作品だけでなく、他の会社のタイトルも長くなっている。
『ふたりはプリキュア スプラッシュ☆スターパンパカ★ゲームでぜっこうちょう!』
『日本漢字能力検定協会公式ソフト 200万人の漢検〜とことん漢字脳〜』
『枝元なほみのしあわせキッチン 〜かくし味はあなたがキメてね☆〜』
『ネギま!? 超 麻帆良大戦 かっとイ〜ン☆契約執行でちゃいますぅ』
なんだか凄いノリっぷりである。
そのうち、作者の名前とか、値段とかまで付いてしまう気がする。
ここんとこ、母子でアニメの「名作劇場」シリーズをずっとDVDで見ているのだが
(ラスカルとか、フランダースとか、母をたずねてとか……のシリーズ)
カミさんが、「DVD返すの忘れた!」ということで、代理で返しにいくことになった。
なんでも、TSUTAYAは、営業開始の朝の10時までに返せばよいとのことで
朝っぱらからTSUTAYAにDVDを返しに行く。
9時50分くらいのことかしら。
入り口の前にある返却BOXを発見。
これに入れればよいのだなと、DVDをゴトンと入れて任務終了。
と、振り向くと、人の姿が。
なんか、何人もこちらへ向かってくる!
時間ギリギリ、ビデオ返却の人たちだ。
歩いてくる人。
自転車でくる人。
白いベンツを横に着けて出てくる主婦。
iPodを聴いて歌いながらくる学生風。
ただのランニング風なのに、TSUTAYAの前でクルっと方向転換して返すおじさん。
親子。
カップル。
お年寄り。
これは面白い。
バラエティ豊かな人種が、同じ目的で慌てている図は珍しい。
店舗の場所とタイミング(週明け・休み明けなど)によるのかもしれないけれど
こんな面白い画があるとは知らなかった。
最初は10分くらい余裕があったが
だんだん10時に近くなってくると、その焦り方もハンパじゃなくなる。
まるで、なんかの競技みたいだ。
TSUTAYAマラソンだ。
しかも、落ちこぼれ競技だ。
もう返却BOXに来る人、来る人にインタビューしたい。
カメラとインタビュアーなどのクルーと一緒に、返却BOXの前で待ちかまえたい。
「よかったですねー、ギリギリでしたよ!」
「はい…(息切れ)、よかったですホントに……」
「ご自分で見られたビデオですか?」
「いやっ…(息切れ)……、彼女と昨日……見てたもので……(息切れ、うつむく)」
「作品はなにを?」
「『スパイダーズ 宇宙から来た巨大グモ』と『ラブ・アクチャリー』という……」
TOBYちゃん!
元気なTOBY。
優しいTOBY。
明るいTOBY。
みんなのTOBY。
I love TOBY!
We love TOBY!
TOBYちゃぁああん!
10年以上の友人である
久保さんが頑張って立ち上げられた
SAPPPOROショートフェストを応援に札幌へ。
久保さんとは長い友人であるが
この1年くらいは会う機会も多く
会うたびに、SAPPOROショートフェストの話を聞いていた。
久保さんは苦労の人である。努力の人だ。
久保さんを知っている方は、頷いてくれるであろう。
立ち上げ前の様々なことに対して、不安に思っていた頃。
届いた作品が予想を遙かに上回る1800本以上もあって驚いていた頃。
全ての作品に目を通すのに倒れそうになっていた頃。
運営体制や協賛営業が遅れ、慌てていた頃。
前売りチケットの売り上げが伸びずに心配していた頃。
フェスト直前のバタバタで体調を崩していた頃。
そういう背景を知りながら参加させていただいたショートフェスト。
僕も自分のことのように、ドキドキしながら札幌へ飛んだ。
すると、会場となる映画館には長蛇の列ができ、回によってはほぼ満席。
一日、一日とクチコミで人が増えている様子だった。
少なくとも、動員の心配はないようで安心する。
僕もいくつかのプログラムを見せていただいたが
多くの応募から厳選された作品だけあって、内容も素晴らしかった。
ショートフィルムの素晴らしさを改めて感じることができた。
夜の授賞式には、世界各国から多くの人が集まり、会場はいっぱい。
また、その会場が暖かく、楽しい、いい雰囲気。
よくやった。
よくここまでやったと思う。
1年目のフェストとしては、素晴らしい結果だと思う。
授賞式のスピーチで久保さんが喋っている間
それまでのいろんなことを思い出した。
友人の苦労が、いい形になるまでのこの1年を思い出した。
嬉しくて、おめでたくて、正直ホッとして、涙が出てきた。
どの作品が何の賞を受賞したか、わかんなくなった。
会場で倒れそうになっている久保さん。ようやった。あんた、ようやったよ。
昨晩は麻布でライブDJ。
そのまま他のDJも楽しませていただいて
朝の6時にオフィスに戻り、仕事の資料を作成し
9時から法務との打ち合わせ。
いまから名古屋に出張で、そのまま夜に札幌へ移動の予定。
さすがにちょっとしんどくなってきた。
昨晩、遊びにきてくださった方々、ありがとうございました。
レコードやCD回すDJと違って、macの操作しっぱなしのため
ちゃんと挨拶できないこともあり、すいませんでした。
新旧ドイツテクノ合戦みたいな内容になってしまいましたが
マニアックに楽しんでいただけたかと思います。
ありがとうございました。
宇宙関連の本は、やたらと買っている。
たぶん、オフィスと家を足したら100冊以上はあるだろうから
中規模の書店の宇宙コーナーくらいにはなると思う。
といっても、相対性理論からビッグバン理論、量子論と
ある程度内容は同じになるわけで、宇宙に関する新刊を買うというのは
少しだけ夢のある話だったり、ちょっとトンデモな内容だったり
作家なりの考えが入っている、立証がまだできていないものを買うことになる。
だけど、宇宙関連が好きなので、相変わらずに買う。
ちょっとでも新しい理論とか、考えを期待して買ってしまう。
と、いつもの感じで買ったのが、サイモン・シン の『ビッグバン宇宙論(上下)』。
著者の名前も書名も意識しないまま買って、読んだ。
最初は、ずいぶんと丁寧に書かれているなあと感じながら読む。
ビッグバン宇宙論という名前の書籍なのに、宇宙と対象とした研究や理論の
ほんと初めっから書かれている。ほうほう、ここから初めますか、と読み続ける。
が、一向に進まない。上下刊とはいえ、こんなペースで大丈夫だろうかと心配になってくる。
プトレマイオスやコペルニクス、宇宙は地球が中心だ、いやいや太陽だという争いを
いくら丁寧とはいえ、まだ書きますか? と、スローペースに不安になる。
このぶんでは、新しい理論なんて出てこないように思える。
で、読了。
やはり、新しい理論など出てくる余裕はなかった。
それどころか、書名の通り、ビッグバン宇宙論でお終い。
が、全て僕の読み違いというか、先入観の問題で、とても素晴らしい本だった。
面白かった。読み応えがあった。
が、書き方が上手なのであっという間に読んだ。
著者のサイモン・シンって『フェルマーの最終定理』の人だったんですね。
途中で気付いたんだけど、それでよくわかった。
この本は、「宇宙ってこうなってるのかな?」と人類が考え始めてから
ビッグバン宇宙論に辿り着くまでを、しっかりと掘り下げて書いたものなんです。
逆にいうと、未確定や不確定なものは、まったく書かれていない。
ここまでが、しっかりと「間違いない」と言える範囲なわけだ。
その範囲の中で、いままでは、理論の説明だけで終わっていた分野を
1から10まで流れを切らずに続ける形で、太古の人々が星を見上げて「こういうことかな?」と
思ったときから、どうやってビッグバン宇宙論まで至るかを、人間を中心に丁寧に描いている。
AがZまで行くには、BもCもDも必要なわけだけど、そこにドラマがあったり奇跡がある。
セレンディピティ(偶然から重大な発明、発見をしちゃうこと)から学ぶことは大きいね。
子どもの頃、学校で習う歴史は、点と点ばかりの暗記学習でつまらないが
大人になってから歴史を物語で繋いでしっかり読むと、面白かったりすることがあるが
それとすごく似ている。
宇宙論なんて全く興味がなかったという人も、この本から入ってみてはどうだろうか。
創世記の第一章に、「神は言われた。『光あれ』」とあるけれど
宇宙の最初にほんとにあった、「ビッグバン」という時空のきっかけに
人類が届くまでの物語が、丁寧に描かれた本です。
木曜深夜のライブDJの仕込み中。
まさに、そのライブで使うのがAbletonのLiveというソフトなのだが
(上の写真がそれ)
Ableton Liveは、Version1からのお付き合いで、もう今やVersion5。
今月か来月にはVersion6も出るということで、楽しみだ。
映像までクリップとして扱えるようになっちゃうんだよね。
しかし、切ったり貼ったり、音の調整したりと大変なのだ。
Liveというだけあって自由度が高いぶん
その自由な環境を作るまでが大変。
やっぱり、CDJ使ったDJにすればよかったかもとかひよりつつ
Ableton LiveとPeakとReasonとReaktorで格闘中。
エレクトロやろうと思って用意始めたら
結局、ドッツリバッツリのテクノになりそうだな、こりゃ。
矢野顕子さんの新作『いままでのやのあきこ』は
デビュー30年を記念して発売された、いわゆるベストアルバムだ。
ミディやエピックソニー、ヤマハのレーベルの垣根を越え
デビューからついこないだまでの30年の作品から、矢野さん自身が選曲された
音楽CDに加えて、ミュージッククリップ+ライブのDVDも付いており
その中に僕が制作をした「barbie jungle」の映像が収録されている。
(この下と一番下の画像がそれ)
久しぶりに見たが、映像もまあ懐かしい好きな作品だけど
矢野さんの声の素晴らしさと楽曲の良さは当然のことながら
Jeff Bovaの音作りと打ち込みの凄さに改めて感心、感動した。
Billy Joelと仕事して、セリーヌディオンでグラミー受賞だもんなあ。
クリップを作った後、ライブのリハに遊びに行ったとき
映像をすごく喜んでくださって、その笑顔とシャイな人柄が忘れられない。
Jeff Bovaの話が先になってしまって、矢野さんに申しわけないが
矢野さんは僕にとって、あまりにも存在の大きな人なので
これこれこうと簡単に書くことができないのです。
好きな曲を挙げたらきりがないし、もう何回聴いたかわからないし
ライブも何度もいっているし、何度かお会いしてお話をさせてもらったことも
とてもいい思い出になっている。
いつもお会いしたときに思うのは、大輪の花。
とても、輝いていて強くて優しいのです。
30年を記念した矢野さんの歴史ともいえる作品に
名曲『ひとつだけ』など音楽遺産ともいえる楽曲たちと一緒に並んで
自分の仕事が入っているというのは、本当に光栄なことです。
矢野さん、これからも素晴らしい音楽を楽しみにしています。
土曜日のことだが、『ブラスト2:MIX』を観に
息子と東京国際フォーラムへ行ってきた。
9月2日だというのに、WIREでもなく
横のホールAでやってる東京JAZZでもないというのが
ああパパになったのね、という感じがする。
で、初めて観たんですけど、期待通りの内容だった。
全体のクオリティに関しては、期待以上だった。
そりゃ、1ヶ月以上もの公演が売り切れになるわけだ。
毎年、毎年、来場者が増えているイベントは
チェックして間違いないな、という狙いは当たった。
僕はブラスバンドもオーケストラも所属の経験があるので
単に楽曲を演奏するだけではなく、「見せる」ことも考えた
エンターテインメント要素の入ったコンサートにもよく行っていたが
それの最上級クラスといいますか。
……いや、それだとちょっと失礼だな。
吹奏楽器と打楽器のスキルを持つ、大道芸人の世界選抜といいますか。
……ちょっとこれも失礼か。
まあ、とにかくエンターテインメントしていた。
楽器の演奏を中心とした、多人数のエンタメアクトと呼ぶのがいいかしら。
「スキル高っ!」と心から感じられるのは、ありがたいことだが
それに、「エンタメ度高っ!」が加わると、素晴らしいパッケージになる。
途中、前半が終わって休憩になると、客がみな、席から離れ出口へと向かう。
ほぼ全員が猛ダッシュ。
「そんなにトイレとタバコのニーズあるかしら?」と思うが
すぐに過去の経験から幕間の休憩時パフォーマンスだということに気付く。
ホールのロビーでの演奏。
こういうエンタメに徹しているところが、客の心を掴むのであろう。
だって、休憩になった途端の、客が席を立つ率って8割くらいだったんで
リピーターが8割くらいってことでしょ?
そりゃすごい。
お子様のいらっしゃる方は、行かれることをオススメします。
席が残っている公演も少ないかと思いますが、当日券も開演1時間前から販売してます。
次は13日から18日まで東京でやって、その後、福岡、仙台、広島など全国へ。
チケットがちょっと高いですが、ステージに上がる人数を考えればそりゃまあ。
ロビーでの休憩パフォーマンスを階段に座って観る人々、これは凄い。
ちょいと、ここには入れない自分がいたりする。
ここまで観る率が高いなら、ステージでやればいいじゃんとも思うが
休憩なのにロビーで演奏して、それを座席でなく階段で観るというのが大事なのよね。