『宇宙戦争』は、凄かったー!!!
『宇宙戦争』、なんじゃあれ???
という感じで
こりゃ、観た人の評価が真っ二つの映画でしょうね。
いや、評価っていうか、単に観た後の印象として。
インタビューやらCMやらの、一大プロモーションで
「家族愛」&「戦争(戦い)」を強くイメージ付けているために
「感動」とか、「ドンパチ」とか、「カタルシス」を追い求めて、映画を観ると
かなり「マムムムム…」となってしまうでしょうし
そのへん期待ナシで、もしくは、「映画の面白さ」を路線変更して観れば
「こりゃサイコー!」となるでしょう。
原作があるわけで、そのタイトルが『宇宙戦争』なので
そもそも、その時点で誤解を与えてしまうのは仕方ないんだけどね。
僕は、ご都合であれ「感動」か
めちゃくちゃであれ「カタルシス」か
いつもだったら、どちらかがないと、「うーん」となっちゃうほうなんだけど
『宇宙戦争』は、高く評価します。
「宇宙人攻めてきてヤバいぞ日常リアル作品」という認識で観ていただきたい。
『アルマゲドン』とか、『インデペンデンスデイ』とか
そういうノリを絶対に期待せずに。
感動とか、愛とか、カタルシス、爽快感、激しいドンパチ…そういうのを忘れましょう。
そういう期待は外しましょう。
(プロモーションの罪だなあ、これ)
『プライベートライアン』もそうですが、「リアル悪夢」を体験しに行く感じで。
もう悪夢なんですよ。かなりの悪夢。
映画なのに、「こりゃ困ったなぁ」と感じることができる映画。
「うわー、やっべぇ!」と心から叫ぶ映画。
僕、今もあの「やべぇ」感が忘れられないですもの。
そういう感じでOKな方はぜひ。
OKな方は、ぜひぜひで観に行っていただきたい。
「やべぇ」感を味わいに。
※続きとして、感想を書いておりますが
かなり<ネタバレ>しちゃっておりますので
まだ映画をご覧になっていない方は、読まないようにお願いします。
<読んでくださる方は、この下の[続き...→]というのをクリック>
☆
☆
☆
☆
===ネタバレです===ネタバレです===ネタバレです===ネタバレです===
☆
☆
☆
☆
さて、感想ですが、主人公視点なんですよね、全部ずーっと。
トムクルーズ(もう役名忘れてやんの)の視点で常に描かれている映画。
ここがどう響いたかで、観た人の感想は大きく変わる。
(この部分、あまりにも考えさせられたので、長くなりますが書きます。
映画を見終わった後、しばらくして「なるほど」と思ったんで)
普通の映画だったら、主人公近辺だったり
「その頃どこどこでは…」だったり
他の役者にシーンがいったりするんだけど、ずっとトム。
この手法のおかげで、リアリティを描くのに成功している。
しかも、主人公は一般人。だから、リアリティがある。
だけど、ヒーローでもスーパーマンでもない男=主人公視点にしているため
カタルシスは少ない。
といった、主人公視点の手法のいいとこを評価、もしくは
この手法によって可能となっている、リアリティの演出というか、体感を好まないと
「なんじゃこの映画」となってしまう。
「戦争」っていうくせに、「軍隊VS宇宙人」のドンパチが少ねぇじゃんか! とか
普通、宇宙人に攻められたら、核兵器使うだろうよ! とかなるだろう。
だけど、主人公視点だから仕方ないわけだ。
一般人の主人公視点のため、ドンパチに参加シーンはできないわけだし
(もしくは、一般人でも軍に参加していくようなストーリーとなってしまい
それだと、描こうとしたリアリティとずれてしまう)
核兵器だって、実は使ったのかもしれないのだが、主人公視点だからわからない。
この手法が成功しているのは、他にもあって
「世界中が攻められている」と言われても、主人公視点のため
普通の映画だったら「パリでは…」とか「ロンドンでは…」といった
シーンがあるわけだけど、それがない。
だから、情報は全て「人が言った」ものであり、だから、本当か嘘かわからない。
主人公にもわからないし、観ている人もわからない。
そこが、かなりうまくいっていると思う。
(だから、わざわざテレビ映らなくなっちゃう設定なんだろうし)
主人公視点であるトムの(=自分)の目で見たものしか絶対ではないわけだ。
トライポッドが地中に埋まっている、とかいっても本当のとこはわからない。
トライポッドが何体いるかすらわからない。
元嫁がいるボストンがどうなっているかもわからない。
日本市場ウケを狙って入れただろう
「大阪ではトライポッドを倒した」というのも、実際のところわからない。
(だから、あんな状況で喋らせたのだろう)
という、ここがいいと思うんだよなあ、かなり。
「わからない」の演出が足りないんだけど。
それにしても、あの「攻められ」&「無力感」はすごかった。
「こりゃ無理だ」と諦めさせられる映像。
普通は(『アルマゲドン』でも『インデペンデンスデイ』でも)
全世界各地の被害のカットを入れることによって
「こりゃだめだ」感を演出するんだろうけど
スピルバーグは、CGの進歩を頭でレンダリングして
「主人公視点で「こりゃだめだ感」! お、イケる!」と思って
制作に踏み切ったんだと思う。
しかし、「ヴオーーーッ!」という
トライポッドの音が頭から離れない。
子供の頃に観たら、『エイリアン』のようなトラウマになっただろう。
トライポッドがサーチして、ぐおんぐおん動いているのもすごかった。
あんなに「こっちこないで!」と、映画で思ったのは初めてだ。
あと衝撃だったのは、紅植物に、大量の人間から採った大量の血を
養分として、トライポッドが霧吹きみたいに、かけまくっているとこ。
ありゃ悪夢だ。かなり悪夢だ。
(ところで、紅植物は宇宙人の環境作りためのものなのかな?
人類が火星に行く時、人間にあった大気を作るのと同じ)
と、いいことばかり書いてきましたが
かなり残念なのは、「家族愛」の演出が足りなかったことだよね。
もっと描くか、きっぱりやめればよかった。
もったいない…。
と長くなりましたが、作品作り&マーケティングって難しいなあと
久々に考えさせられる映画でした。
そもそも、「人類 vs 宇宙人」じゃなくて
「地球 vs 宇宙人」ということがミソなんですよね。
主人公視点で描くことも効果的に、「人類 vs」と思わせておいて
微生物コミで地球が戦っていたと。
それの伏線がレイチェルの指に刺さったトゲなのよね。
でも、昔にトライポッドを埋めた時は、微生物、大丈夫だったのかなあ?
微生物だから、そんなもん、もっと昔からいるわけだし。
その頃の微生物はOK? そうなのかな。
あ、埋めたとは「わからない」わけか。 いや、それはなあ。
直接地上に降りてない?
…うーん。
もう一回、観に行こうっと!