第四十三回【用心】豊かさの意味するものの巻【用心】

ミッシェル:

はい。お茶にケーキですよ。

はるん  :

はやっ!!!

ミッシェル:

はるんに言われたんで、ちょっと時間を早送りしてみたんだ。
な〜んてことはなく、朝作っておいたアイスコーヒーだからね。みなさんもストロベリーケーキと一緒に召し上がってください。

はるん  :

ミッシェルさん段取りがよすぎです〜。冗談はいまいちだけどー (・◇・;?

体脱   :

それではいただきます。手術跡に刺激物はよくないと医者から言われたので、コーヒーは僕は遠慮しときます。

はるん  :

ところでルリーさん、幸せを求めて人間は生きているけど、河の流れに乗って幸せを感じることって難しいんですか?

ルリー  :

先ほど真名圭史さんとも正にその話をしていたのですよ。さっき言いましたが、人はすべてその河にあり流れに乗っているものなのです。
ただ、その緩やかな流れを感じる前に、みなさんがそもそも河の流れに乗っているということを、誰も教えてくれないのです。

それどころか川岸にあるいろいろな果実のことや、流れの速さや船の大きさのことばかりが取り沙汰されて、その流れに乗るためにはどうしたらいいのか、乗りそこねたらどんなに恐ろしいのか。そのような幻想の中に閉じ込められていて、自分の本来の状態を信じることができなくなっているのです。

体脱   :

それって、いろいろなことに惑わされて空回りしているってことですよね。
自分の生活を少しでも良くするために毎日を必死になって急いで生きていってしまう。
ゆったりとした動きの中に導かれるものがあるなんて知らないから、どうしても忙しく毎日を必死になって過ごしていっちゃうんですよね・・・

はるん  :

なんか、誰かに飼われたハムスターが回し車で運動しているみたいっ!
(=^△^=;;;)

ミッシェル:

それはちと言いすぎかな(笑)。

ルリー  :

そうですね。ただしここで、覚えておいていただきたいのは、人は人生で行動した分、必ず得られることがあるということです。
それを素直に受け取っているならば、たとえ自分の状態を信じることが出来なくとも、幻想の中から一歩踏み出して行動をしていくということがとても重要なことだと、いつか必ず気づく時が来るものです。

そしてその時になれば、「河の流れはゆっくりで良いのだ!そこに身を任せるのだ」と、周りを見渡すことが出来るのです。
流れはもともとが穏やかなものなのに、急な流れだという幻想の中で見失っていたことの重要さに、その時ひとは気づくのですよ。

河はそこでは、急に穏やかに流れ始めたかのように見えることとなるでしょう。あるいはそこから急なカーブにさしかかったようにも見えてくるのかもしれません。

そのような変化を感じられるようになった時、みなさんは「自分の生き方の中で真に得られるものを抱えることが出来た」ことに満足することを覚え、その先に進めるはずなのです。

はるん  :

そうなんですか。そうなると、いろいろな災いとか、厄介な人間関係に巻き込まれたりとか、しないってことになるのかな〜

体脱   :

今回の九州地震とか、あるいは僕の手術の体験とか、思いもかけないことから出来事が起きたり、身近なことだったら、友だちや恋人とささいなことで大げんかをするとか、それこそ人生のいろいろな事柄で悩み苦しむことから解放されるとか?

ミッシェル:

天災はともかく、人間社会で起きる出来事からまったく解放される、ということではないと思うよ。

ルリー  :

天災についても然りなのですよ。
例えばそれを体験することで家族の絆が強まり、今まで以上に何か大きな変化を受け入れられるようになるかもしれません。
皆さんの意識の中から、ものを失う恐怖をなくすことができて、当事者の方々がその出来事を乗り越えることによって、精神的にも大きく前に進むことが可能になるかもしれません。

また、友だちや恋人との諍いもまた同様、感情的な囚われを外して考えた時に、当事者ならではの大きな気付きが出来ることもあるのかもしれません。
その出来事もまた、起きてしまうことが必要なものであるのならば、その先を見て行動していくしかないでしょう。

そもそも、そうなる前に流れに乗って過去を振り返らない行動をしていたかどうか? というのがここでは意味を持っています。しかし、そうではなく、たとえ流れに乗っていても、このような事態になることはあるものなのです。

ミッシェル:

ただし、人間社会で起きることの多くが、過ぎ去った果実や対岸の果実を追い求めることから始まるという意味では、大河に乗ったと感じた時点から先に、このような要因の多くからは、少しは解放されていくということは言えるのですよね?

ルリー  :

その通りです。しかし、その気づきの後にも、よくよく気を付けないと、うっかりと同じことを繰り返してしまうのです。

はるん  :

そうなんですね! 目の前に直面した出来事がどんなに自分にとって辛く悲惨に思えても、その感情だけで現実を嘆いてくじけてしまってはいけないんですね。そして、たとえ大きな河の流れに乗ったのだとしても、用心ようじん〜〜〜 o(・_・= ・_・)o

体脱   :

たしかに出来事には、ことが起きる大きな必然のようなものがあって、そのことに気づくことと、大河の流れに乗ることというのは、なにかおんなじ領域から生まれる理解なのかなぁ……。
なんだか身にしみて感じるとこがあります。

ルリー  :

ひとはどうしても自分の尺度だけからしか物事を捉えることが出来ないようになっていますからね。
しかしそこを理解することで、自分の判断基準だけでは見えてこない「豊かさ」というものを、初めて読み取ることが出来るものなのですよ。

<7月25日(月)に続く>

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