第四十回【根深く】カルマの代償の巻【厚く】
- 体脱 :
う〜ん、まさにミッシェルと真名さんが言った通り、今回の出来事の一連のつながりは、スペースマッチョさんの言った、家族や家系から生まれた「家系のカルマ」を僕が外すための最後の舞台だったような気がしたんです。
18歳の頃に感じた精神的な束縛感が長年にわたってようやくその姿を表して最後の最後に外れていった…というか。少なくとも僕にとってはなんですが。- はるん :
でも、でもね、そうするとすごく怖い展開が待ってるんじゃないですか体脱さん? ていうのは、スペースマッチョさんの言葉によると……、もし体脱さんがその因果を断ち切るために生まれてきたんだったら、つまり 「そのために生まれてきた子供がその摩擦の蓄積した情報を持ってこの世界にやってくることがあり」というのが体脱さんのことだったら 「それを解放するための行動を行い解放した後に肉体を失う、というパターンもある」って、マッチョさん、はっきり言ってるんですよ〜? w( ̄Д  ̄;)w
- 体脱 :
・・・
- はるん :
これ、どうなんですか? でも、「パターンもある」って、言ってるんだから、そうじゃないかもしれないから。その可能性もありますよ体脱さん・・・
- 体脱 :
・・・・・・
- ミッシェル:
そこなんだよはるん。僕が気になったのは。
- はるん :
体脱さん、無言です〜 白目はむいてないみたいだけど下向いちゃって顔上げないし・・・
- ミッシェル:
ただ・・・
- はるん :
ただ? なんですか?
- ミッシェル:
そのことは、ギリギリ考えなくてもよいようなんだ。
- はるん :
えっ? なんでですか?
- 真名 :
体脱さんの腹痛は治まったようですから。
もしそのまま腹痛が続いて再度病院に行かなければならなくなって、それが腹膜炎のようなやっかいな病気となっていた可能性もあったかもしれません。- ミッシェル:
そのとおりだね。でも、幸い体脱さんの腹痛は不思議な事に2日ほどで急展開して治ってしまったね。これで僕は気がついたんだ。
つまり、「体脱さんがその役目を背負ったんではない」ということをね。- はるん :
えぇ〜〜?
- 体脱 :
は? それはどういうことですか? ミッシェルさん。
- ミッシェル:
だから体脱さん、体脱さんは、お父様に感謝しなければいけないって僕は言ったのです。つまり、この家系のカルマを解消するために生まれてきたのは、体脱さん、あなたではなく、お父様、だったんですよ。
- 体脱 :
え? そ、それは・・・
- ミッシェル:
お父様は不幸にもご両親を早いうちに亡くし、複雑な家庭環境の中にあって、わずか13歳の年齢で戦争に送り出されました。
そして感受性の細やかな少年期から青年期まで地獄のような戦争を体験し、復員後もその体験からのがれることが出来ず、がむしゃらに働きお亡くなりになった。
それはお父様自身が、生まれてから両親の愛情を受け取ること無く、家系からはじき出され、その一生を戦争体験の深い傷を負ったままついやすこととなったという生涯を過ごしたということです。
いかがでしょう、そう考えてみるとまた別の姿が見えてきませんか?- 体脱 :
そうですね、、、たしかに父親はまるで世間や社会から隠遁するかのような生活を送っていました。仕事も夜中に起きて朝早く終わるような牛乳配達、世間の人達が寝ている間に自分たちだけで仕事をして、まるで社会の動きとは違うところで生活しているように見えたものです。
そのような父親の世の中への関わり方についても、僕はすごく嫌だったんですが。- ミッシェル:
そこに現れているのですよ、お父様もそのような生き方は決して望んだものではなかったはず、しかし、家系のもたらした因果によってそう生きるしか道はなかった。そしてその運命を淡々と担っていった。そうは思いませんか?
- 体脱 :
そう、そう・・・かもしれません。確かに、その後、75歳になった時、仕事中に心臓疾患を患い、手術して退院してから、父親は仕事から引退するんですが、その後亡くなるまでずっと寝たきりの生活を13年間続けていたんです。
- はるん :
13年間もっ? そんなに具合が悪かったんですか?
- 体脱 :
いや、それが不思議なことなんだけど、心臓の手術自体は血管を広げるだけの簡単なもので、バルーン療法といって、血管から管を入れて詰まった箇所の通りを良くするもので、ちょっとした切り傷だけですむ体に負担のかからないもの。
結局その手術は13年間の間に2回やったんだけど、本来は寝たきりになるようなものじゃなかったんだよ。ただ、父親はその手術を受けた後仕事をやめて、それからベットに寝たきりの生活を自ら選んだんだ。
そう、選んだとしか思えないんだよ。- はるん :
それって、体は元気でもずっと寝たきり? 散歩とか体を動かうこともしなかったんですか?
- 体脱 :
そうなんだ。まわりがどんなにそれじゃ健康によくないいから運動してくれって言っても、まったく体を動かすことはやめてしまって、寝たきりのまま。まるでその使命は終わったかのように無気力ともいえる状態で生活を送っていた。
当然筋肉はどんどん衰えてくるから、年を追うごとに本当に体を動かすことができなくなっていき、、気がついたら13年が経過していた。ということになってしまった。。。- はるん :
それって、ほぼ、社会にでることを嫌がる引きこもり老人みたいじゃないですかぁ〜
- ミッシェル:
そうでしたか。やはりお父様は自身の役目を知っていたのかもしれません。「仕事ができなくなったら自分の役目は終わり」ということになるのでしょうか。
その解釈の世界にこもってしまった。
そしてそれこそ、高次のあり方としては、「蓄積した摩擦を解放するための人生を送りその解放の後に肉体を失う」というあり方に従ったもの。ということが出来るのだと思います。
それはお父様の人生一代の中での摩擦ですが、その摩擦を生じさせた家系と家族代々の軋轢の蓄積というものも大きいのだと思います。
お父様のような体験はまれなものですからね。- 体脱 :
「そのために生まれてきた子ども」、それは、僕じゃなく、父親だったということですか・・・そうすると僕はいったい……。
- ミッシェル:
そのカルマの大きさに青年期に気づき、その確認、つまりお父様の生き様を息子として目の前で体験したのです。
そして、ここが重要ですが、実はお父様自身も息子である体脱さんとの対立やケンカの中で、そのことに気がついていったのかもしれません。
お父様にそのことを語りかけることはもう出来ないのですが、お父様が家系のカルマにたとえ気がつこうがつきまいが、彼はその生涯の生き様を通じて結果的にそのカルマを「一時は外すことが出来た」のではないのでしょうか?- 体脱 :
「一時は外すことが出来る」というのは、スペースマッチョさんの言葉ですね。
- ミッシェル:
それが一時だけなのか、その後も継続できるのか? そこにはまた更に深く理解をしていかなければ読み取ることのできない謎があるのかもしれません。
しかし、いま、おふたりの親子関係というものは、その「家系のカルマ」についてののものから生まれたのだ、ということは、明確になったのではないでしょうか?- はるん :
やはり、先週起きた体脱さんの手術後の腹痛がどうなるのか、というのが大きなポイントだったわけなのかなぁ。
これからまた経過がどうなるかわからないけど、体脱さん、ひとまずお父さんとの体験をもう一度あらためて考えて、いままでのものの見方を変えてみるってこともした方がいいかも。- 体脱 :
・・・そうだね。
そう考えてみると、家系のカルマからの解放というようなことって、実は僕が捉えていたよりももっと大きなことで、実はそこにはさらに大きな代償が求められているのかもしれない・・・- はるん :
それは? どういうことですか。
- 体脱 :
そのカルマの開放って、父親と僕の経緯をすべて踏まえるだけのものだけでは足りなくて、その周囲にまで影響を及ぼしているのかも。いま気がついたんだけど、父親の死後、僕のみならず母親や弟までもが実は体調を崩していて、母親は先日原因不明の鼻血の大量出血で救急車で病院に運ばれて入院、弟はいくつか持病を持っているんだけど、それが同時に再発して、いま仕事もできずに療養中なんだ。
- はるん :
えぇえ〜、それじゃホントに家族が全員災難にあっているじゃないですか。
- 体脱 :
そうなんだよ、これも父親亡き後いま現在進行中の出来事なんだ。
そこまでの出来事が全て関係を持っているとしたら、それはとても大きなことだと思う。でもね、なにかいままでの成り行きが全てつながって、すごく納得できてしまうのも確かなんだ。。。- ミッシェル:
世界線が複相して交錯しているかもしれません。いずれにせよ世界線を乗り越えるというタイミングと、カルマの解放が一度に行われるということは往々してあることのでしょうが、ここまで具体的に際立って現れてきている例というのは、珍しいかもしれません。今後も充分お気をつけ下さい。
- はるん :
そうですね、でも、とりあえず体脱さんの体調が回復してホントによかった。ところで、世界線といえば、その話ももう少し聞かなくちゃ。こんなに深い出来事を産んでしまうようなことなんだから。
圭さん、そういえばスペースマッチョさんは?- 真名 :
そうですね、実は僕とはもう少しやり取りがあったので、お聞かせしたいと思っているんですが、そこの部分を本人から話してもらいましょうかね。
- ミッシェル:
はい! ここでまたマッチョさんのお話が伺えるのは嬉しいですね。
- 体脱 :
ぜひお願いします。
- はるん :
よろし・・・ あぁ、圭さんがもう半眼になってる〜! (◎_◎;)
- 真名 :
ぼ、ぼぉおおお〜〜〜
<7月14日(木)に続く>