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January 23, 2006
シエナによるリード

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昨年、僕の大好きな作曲家、アルフレッド・リードが亡くなった。
いくつかのウインドオーケストラ(吹奏楽)が、追悼の意を込めて
リードの曲だけで構成するコンサートを現在も行っているが
その中の一つ、シエナ・ウインド・オケーストラの演奏会に行った。

2000席もある、横浜のみなとみらい大ホールでの演奏会。
それが追加公演も含め2日分が、事前に完売となった。
シエナの人気も、指揮者の人気も、近頃のブラスバンド人気もあるだろうが
アルフレッド・リードの集客のすごさを実感する。
コンサート中、指揮者の「シエナの演奏会は初めてだという人…」という質問に
多くの来場者が挙手したのには驚いた。
勝手にお客さんの殆どがシエナ、もしくは指揮者のファンだと思っていたからだ。

でまあ、2時間たっぷり楽しませていただきました。
演奏曲は曲順に、音楽祭のプレリュード、エル・カミーノ・レアル
シンフォニック・プレリュード、オセロ、(ここで休憩)、春の猟犬、ジュビラント序曲
パンチネルロ、アルメニアン・ダンスPart1、アレルヤ!ラウダムス・テ
アンコールで、第一組曲より「ギャロップ」、星条旗よ永遠なれ(リード編曲版)
というもの。

この内の1曲がプログラムに含まれていたら「行こうかなあ」とか
思えちゃう感じなので、吹奏楽&アルフレッド・リードが好きな者にとっては
ヒット曲ばかりのライブに行くようなものである。
僕にとっては、ポール・マッカートニーのライブがそれに近いが
久しぶりに2時間があっという間の演奏会だった。

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シエナの演奏会に行くのは初めてなので、「いつも」がわからないが
いくつか感じたことを正直に。
全体の感想としては「素晴らしい演奏会だった」という上で。
ほんと、いいライブでした。

バンドの方向性なのか、指揮者の解釈とか性格によるものかわからないが
正直、あまりにも「あっさりしているなあ」と、ほとんどの曲に対して感じた。

「あれっ? そこ、そんなあっさり次行っちゃうの?」とか
「そこ、もうちょっと弱〜く、暗〜くがいいんじゃないかなあ?」とか
「そこ、ためないわけ? もっと、ずるずる引きずらないわけ?」とか
そんなことを何度も感じてしまった。

もっと、エモーショナルな楽曲ではないのか? リードの曲は。
もっと、自由にいろいろ解釈できる楽曲ではないのか? リードの曲は。

決して、「どこか」の演奏のCDが耳に残っていて、そことの差異を感じて
そう思ってしまっているわけではない。
フルスコアを買って、いろんなバンドなりの解釈を楽しんだ曲も
いくつかあるくらいなので、それはない。(それはありがちなんだけど)

演奏会全体を通しての判断としては、たぶん、指揮者の性格か解釈で
そうなったんだと思うんだけど、あまりにもアッサリしてるんだよなあ。
特にオセロの演奏に関しては、あちこち感じてしまった。
「それじゃオセロも自害できないだろう…」みたいな。
なんだか、「普通に病院で死にました」という感じがした。
という感じが、その部分だけじゃなく、その曲だけでもなく。

たぶん、リードを初めて振る指揮者だからかなあと思う。
スコアを解釈に解釈を重ねて、演奏も何度かこなして、また新たな解釈や
ちょっとした独自の「流れ」とか「重み」みたいななを導入して…
みたいな演奏が僕は好きなんだけど、あまりにも味がない。
もっと歌えるのに、もっと感情を込められるのに。
勢いとかダイナミズム、響きの美しさだけじゃなくて
そういうエモーショナルな部分に、感動するものではないのだろうか。
バンド自体が上手なバンドだから、余計そう感じた。
失礼な意見だが、将来、ロボットが上手に指揮を振るようになったら
こういう感じなのかなあと、休憩時間に思ってしまった。

「シエナのリード」というものが聴きたい。
どんなものでもいいから、「シエナの個性」が感じてみたかった。
それが「あっさり味」だったら、僕とは相性が合わないというだけだけど。

リードの曲は、単調に吹くと、つまらなくなりがちだと前から思っている。
クラシックのオーケストラのライブは好きだけど、ブラスは嫌い
という人は、そういう演奏を聴いちゃったんじゃないかなあといつも思う。
というか、そういう人に聞くと、そういう感想が返ってくる。
交響曲なんて、「えっ? そこ、そういう解釈があったんだ!」てのが痺れるし
それが、ライブ演奏に行ってよかったと思えるポイントだったりする。
同じ曲を、異なる歌手が歌うと、その歌手の人生や個性が乗っかって
違う歌い方になるのと一緒である。

そういえば「歌い方」といえば、シエナの演奏会に行って思ったのは
アルトサックスの客席側の男性の「歌い方」が最高に好きだった。
これは、もう全く「好み」の問題だと思うんだけど
そのリズムの取り方とか、入り方とか、ちょっとしたうねりみたいなものが
僕は大好きな演奏家だった。ものすごく気持ちよかった。
素晴らしい演奏家だった。
「生の演奏」に行ってよかったと心から思った。

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Posted by eno at January 23, 2006 08:15 AM | TrackBack