October 24, 2002
「の」について。
友人に中村伊知哉さんという男がおりまして
現在はMIT客員教授かつ、Stanford日本センター研究所長。
そして、元少年ナイフかつ、元郵政省という
果てしなく激しい人生を歩んでいる人ですが
彼とメールでやりとりをしていたら
彼が「自分は「の」にかねてより注目をしている」と突然言ってきたので小野リサ。
じゃない、驚いた。
というのは、僕も「の」研究家だったからだ。
しかも「の」実践者でもある。
言うてみれば「の」を愛した男でもある。
名前にも「の」が付いているので、因果もある。
だから、応報もある。
最初に実践したのが「Dの食卓」。
「D食卓」でもなければ、「Dは食卓」でも「Dを食卓」でもない。
「の」が無ければ、あの雰囲気は出ない。
「は」というのは単なるイコール関係を作るのだが、「の」は世界を創造する。
「AのB」とした場合、「A」をあえて一般的な言葉にすると
ものすごい世界広がる、言葉が出来上がる。
それ以来、実践者として、そして実感もあったので
「風のリグレット」など使ってきた。
「エネミー・ゼロ」というのも、「・」を英語的「の」として使っている。
「の」はちょっと湿った感じも出て、大好きな言葉だ。
そして、僕が、僕以外で「の」研究家かつ実践者とチェックしているのが
宮崎駿さんだ。
「風の谷のナウシカ」!
いきなり2発!
でも、実はその前に「ルパン三世 カリオストロの城」というのがあるので
それで、(ネーミングは違うかもしれないが)実践、実感して
「これは、やはりっ・・!」と2発に挑んだのだと思う。勝手に。
そして、そこからがスゴい!
「の」を信じ、「の」に託した男による、「の」ネーミングのオンパレードだ。
まず、次の作品で「天空の城ラピュタ」。
「天空城ラピュタ」との大きな違いを感じて欲しい。
この2本で、確実に掴んだ!と言わんばかりに
「となりのトトロ」、「魔女の宅急便」と創り続け
ついには「紅の豚」!という、1文字+「の」+1文字の究極美。
「紅豚」じゃ、グローバルダイニング、ついに中華進出の新店舗かと思ってしまうところだが
「の」が空と男の宇宙を創り上げた。
そして、2度目の「の」2発。
しかも、「風の谷の」とは異なる新たな手法。
「もののけ姫」!
こりゃ驚いた。
しかも世界的に売れた。
この頃には、とっくに僕は「次はどうくる」と、チェック入れまくっていたので、かなり驚いた。
のけぞった。
そして、「千と千尋の神隠し」、最新作の「猫の恩返し」まで。
長くなったので、このあたりで終わるが
「の」は深い。
「の」はスゴい。
「の」は美しい。
クリエーターのみなさん、「の」をどうぞ。
あ、「耳をすませば」ってのもあったか・・。
eno(いいの)
Posted by eno at October 24, 2002 01:25 AM
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ピカソは、青い時代でなく青の時代。
イタリアのテロ組織は、赤の旅団でなく赤い旅団。
ロッキーチャックは、緑の森でなく緑が森。
「の」から外れて、色の考察になってしまった。
KIKUCHI
台湾の街中も「の」が跋扈してますね
ネオテニの松本さんのblogから流れてきました.
おもしろいっすね,「の」.こんな奥の深い研究があったとは.
私が映画のタイトルで思い浮かべるのは”クレヨンしんちゃん”.
嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国「の」逆襲
嵐を呼ぶジャングル「の」逆襲
電撃!ブタ「の」ヒヅメ大作戦
なんだか,「の」が入るだけでワクワク感があります.
でもこれ書いてて気がついたのですが,これってスター・ウォーズ のタイトルのパロディ入ってるんじゃん.てことは,ルーカス,スピルバーグも「の」の実践者?(邦題まで彼らが作っているわけないじゃん)
m(__)m
『羊たちが沈黙』・・これじゃね。
あと、NTT DATAさんからわざわざどうも。
明日にでも、大きな仕事ください。
それでは。
「の」の呪術について。
接続助詞「の」の累積について。非常に奥の深い分野ですね。祝詞(のりと)や呪い(のろい)に通ずる強い言霊です。コトダマの呪術で、「の」という助詞を重ねることでコトダマの力を累積し増強する目的があります。ウラル・アルタイ語族の言語に共通して見られる文法構造です。
接続助詞、従属助詞とは、その名のとおり前の単語で後ろの単語を修飾する場合に必要な構造に過ぎないのですが、ひとつひとつの単語にアニマの存在とその発現を信じていた私たちの遠い祖先は、「の」という助詞のもつ接続と修飾の機能にも強い力を認めていたのでしょう。かつて中世においては、名と姓の間に「の」は必ず入っていました。ドイツの貴族の称号に残るvonと同じ機能です。
たとえば、目の前のディスプレイで、「みなもとのよりとも」 と打ってみて下さい。おそらく姓名を一発で変換できる筈です。ことほど左様に、少なくとも中世以降まで姓と名の間には、「の」が入り、「の」を含めてひとつの姓名として認知されており、姓名の間に「の」が入らないことは考えられなかったということです。
これは氏姓制度に由来し、誰がどこの姓(かばね)の血統を引くものかを根拠とする太古の血統継承による秩序の構築という大変古い由来を持っています。
ここに述べた「の」の機能は、本当のさわりに過ぎませんが、「の」は重ねれば重なるだけ、力の累積になります。
「の」については専門的な学術文献も出ています。
万葉集助詞の研究 小路一光著 出版者:笠間書院 出版年月:1988.8
国語助詞の研究 助詞史素描 此島正年 著
増訂版 出版者:おうふう
出版年月:1994.8
ご参考までに。非常に面白いテーマだったので、ポストしました。
武邑さん、興味深い、有り難い、関心高い
コメントをありがとうございます。
勉強になります、ホントに。
武邑さん、ホント、blog向きですよ。
blogって記憶と知識と思いを整理して
パブリッシュしますが
そのアウトプットは対象を意識してますからね。
そして、その対象のみなさんが、発信者からの
アウトプットを対象のみなさんのカラーのもと
まとめて、再整理、再発展していく。
blogというのは、一つにはこんなことかなと
思っておりますが
ある種、同じタグの人々が集まりやすい構造でもあり
でも、実は、全く違う記憶と知識と思いの人々が
集まった方が、化学反応が面白くなる。
ですから、武邑さんが非常に有り難いですし
非常に面白いです。
だけど、まぁ、ツールの性格なんで直せばいいんだけど
今のとこ、「同タグ集まれ、俺Identify」な
目的と構造になりやすい、性格を持っている。
カテゴリとかで寄せない構造の方が面白いのに。
種類とか、記号とか、記述ではなく
ベクトルみたいなものがあればいいのに。
あとは単に数。
これは大事。
繋がりが大切なメディアのわりに、そこが弱い気がします。
まだまだ。
グルーピングとか楽しかったらいいのに。
コミュニケーションの度合いが絵で表現できればいいのに。
「楽しさをもっと創出したい!」
僕がblogでやるなら、ここです。
「書くのが面白い」
そんなのダメ!
ほんとちょっとしたことですが
メッセージ読んで、コメントしなくても
「面白い!」と思ったらキスマークくらい
付けられたら、どんなに楽しいか、と思います。
そして、Joiが僕の持つ「面白い!」を
どれだけ理解し、賛同してくれるか?が
大きなキィでテーマだと思っています。
飯野さんはやはり筋金入りのコミュニケーターですね。
実に、blogが持つ化学反応というご指摘はハッとしました。絵で表現できる、キスマークやシンボルがこのポストにあれば、最高ですね。
あと、感謝と尊敬。
Joiと飯野さん、実は最高のパートナーじゃないかなと思います。お二人の化学反応がblogを進化させることは間違いないと思います。
Joiと飯野さん、実は最高のパートナー
あたし すこし嫉妬してますっ!
スタジオジブリでは映画の題名に「の」を入れるのが
げんかつぎらしいですね。TVでそう言ってました。
ただそれだけですの。
最近活動見ないんですけど、WARP潰れたんですか?