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April 11, 2009


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テレビ番組の設計

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僕はあまりテレビを見ないほうであるが
最近は、テレビ番組を見る時間が、ずいぶん増えてきたと思う。

ハードディスクに保存したものから
たまに時間があれば見る、ということばかりだが。


先日、たまたま知った「お試しかっ!」という番組の
「全て当てるまで帰れま10(テン)」という企画がよくできている。
くだらないが面白い。


ファミレスやら居酒屋やら回転寿司屋に行って
6人のチームで、その料理屋の人気メニューベスト10を
当てるというものだ。すべて当てるまで帰れない。


チームで1人ずつ
「和風ハンバーグ!」とか「ミートドリア!」とか言って
ベスト10に入っているメニューを当てていくわけだが
そのメニュー宣言した後、料理を実際に、チーム全員で食べないとならない。
食べた後で、ランクインか否か、そのメニューが何位かがわかる。


しかし、なかなか、トップ10全てのメニューを
当てるのは難しいため、ずっと食べ続けることになる。

そのうち、時間もずいぶんと経って眠くなり、チーム内の空気は悪くなり
食べ続けることがお腹が膨れ、もう食べたくないと、険悪になる。

よくできていると思う。


まず、料理モノ(食事モノ)ということで
ちょっとした最低限の、情報が担保される。
そこだけ切ったら面白くはないだろうが
「食べ物番組」としての、最低線があるわけだ。

ここは、このくらいで省く。


そして、クイズ番組的な要素もある。
しかし、ずいぶん変わったクイズ番組となっている。

チームのうちの誰か、回答者がメニューを眺め、「これかなあ?」なんて言って
「串焼き盛り合わせ!」などオーダーするわけだが
番組を見ているほうは、メニュー=回答の選択肢を知らない。

普通、クイズというものは、見ている側も一緒になって考えるわけだ。

しかし、この番組では、その居酒屋や、ファミレスによく行っている人
そこのメニューを把握している人でいなければ
よくあるクイズ番組のように、一緒に回答することはできない。
そのメニューを持っていないからだ。
それが見事である。


だから、「串焼き盛り合わせ!」など回答者が選択したのをきいて
「いやー、それはないなあ」とか「5位か6位くらいか?」なんて
「どうなるか」を予想することになる。

その立場は、そのチームの回答者以外のメンバーと同じ立場である。

「そりゃ入ってないよ!」とか「それいけるかも!」とか。

そして、「第何位」という結果をきいて
「やっぱりなあ」とか「え、そんなものなの?」とか「あ〜あ」とか。


これが、10種類のメニューから、第1位のメニューを当てる
という企画であれば、ぜんぜん違うところだ。
視聴者の立場としては、回答者とイコールになってしまう。
それが、普通のクイズ番組、或いは、クイズ要素を持った番組だ。

しかし、この番組では、視聴者は、もちろんある意味回答者でもあるけれど
完全な回答者にはなれない。なぜなら、テレビの中の回答者が持っている
「メニュー」=回答の選択肢、をこちらは持っていないからだ。

それによって、回答者ではなく、トップ10に入っているか否かを思う
チームの回答者以外と同じ立場になる。
そこが非常に上手だと思う。


そして、当然、トーク番組としての要素も持っているわけだが
トーク番組としての、設定も優秀である。


トーク番組というのは、どのようなトークが生まれるかを
上手にナビゲートするための、「装置」である。
「装置」の設計が、なにより重要である。

だから、お題に従ってゲームをしてみたり
わさびが大量に入った寿司を当ててみたり
ゲストの嫌いな食べ物を当てたりするわけだ。


この番組では、回答者はチームから1人ずつであるが
出てきた食事を、食べるのは全員である。
トップ10をすべて当てるまで帰れないのも全員である。
全員の連帯責任という図式が、見事に機能している。

対戦相手はそこにいない。
相手となっているのは、人気メニューベスト10というデータと
自分自身、そして、チームのメンバーである。

食べ続けなければならない食事。
膨れていくお腹。
過ぎていく時間。
眠くなり、苦しくなり、疲れとイライラは頂点に達する。

回答者という、個人責任のプレッシャーと
出てきた料理を完食する、連帯責任のプレッシャー。

面白いトークが生まれる、見事な設計である。


こういう番組を見ていると
テレビを作る人たちというのは
ほんとうにテレビを作るのが、うまいんだなあと、感心する。


でも、間違ったりするのだろうか。

画的にもよいからと、そのうち高級レストランでやったりするのだろうか。
「自腹」といった、意味のない約束が出てきたりするのだろうか。
「熱い」とか「辛い」とか、安易な要素を加えてしまったりするのだろうか。


「全て当てるまで帰れま10(テン)」は

料理+トーク+クイズ、番組の企画として、1つの完成形ではないかと僕は思う。


そして、こんなことblogに書いて、なにがしたいんだ、とも思う。


そんな土曜の午前中。


ところで、ヨシナガさんとのトークライブ
もうチケット、残りかなり僅か、とのことです。

かなりギリギリかと思いますが、「行くぞ」という方はお早めに。


Posted by eno at April 11, 2009 10:42 AM


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