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June 04, 2008


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pupaと再開と

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「pupa」のライブに行った。
Liquid Room。

pupaは高橋幸宏さん、原田知世ちゃん
高野寛さん、高田漣さん、堀江博久さん、権藤知彦さんによるバンド。

まだアルバムも出る前のライブ。
新バンドの、初ライブだった。

僕が感じたのは、「初々しさ」だ。
失礼な言葉かもしれないが、初々しさを感じた。


pupaは、メンバーを見ていただければわかるように
実力、キャリアある人たちが集まったバンドである。
少なくとも、幸宏さんがいる時点で、そういうものだ。


ライブ前、なんとなく頭の中で鳴っていた音の雰囲気があった。
しかし、それは、ライブが始まると、見事にぶち壊れた。

ものすごく、初々しい。
瑞々しく、弾けていた。

まさに、それは「バンドのデビューライブ」だった。
その空気は、まったく予想していなかったので驚いた。

思えば、最近、バンドのデビューライブというものを見ていないが
久しぶりに、その空気を感じる。初々しさ。
これから、どう広がっていくか、わからない感じ。

バンドのデビューライブとしては
バンドのデビューライブらしい、というのはなによりではないだろうか。
可能性にニヤニヤして、可能性にワクワクするからである。
これからが、楽しみだ。

<<ここをクリックすると、pupaの試聴ページへジャンプします>>

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ライブ後、嬉しい再開があった。

楽屋で幸宏さんに挨拶をし、遊びに来ていた
細野さんや、ほかの方々と会話をし、ちょっと一服と
タバコを吸いに、奥へ進むと
なんと、鈴木慶一さんが、いらっしゃるじゃないですか。

慶一さんとは、前にもこのblogで書いたが
『リアルサウンド』で、仕事をしていただいた仲であるが
お会いするのは、久しぶりだった。

久しぶりに会って思ったことは、僕は慶一さんが好きだ、ということ。

暫くお会いしてないことを後悔しつつ
そういう流れなのだなあと思いつつ、僕は、ほんと慶一さん、好きだなあ。
好きすぎる。


久しぶりにお会いして、「唐揚げ」の話となった。

これまた、前にblogに書いたことだが
僕の人生の好きなエピソードの数本に入る出来事であるので
ただリンクを貼ろうかと思ったが、もういちど書く。
そのくらい好きな出来事なのだ。
このステキな感覚が、伝わってくれたら嬉しく思う。


僕は鈴木慶一さんに、仕事を依頼した。
作品は、『リアルサウンド 〜風のリグレット〜』。

慶一さんが、スタジオで音楽の制作をすることになり、僕も遊びにいった。
遊びにいったとは、なんてことだ、と思うかもしれないが
音楽監督は、作曲・制作も含めて、慶一さんに任せているので
プロデューサー兼企画、監督の僕は、別になにもすることはなかった。

まず初日。僕は、なにもすることがなく、終わった。
あたりまえのように、いちにちが終わった。長かった。

そして、2日目。
僕は、差し入れをいろいろ持っていったのだが
その中に、唐揚げがあった。
もう特大パック、みたいな唐揚げ。5人前くらいあったと思う。

2日目も、僕はなにもすることがない。
これは、僕みたいな人間には、かなり厳しいことだ。
僕は、じっとなにもしない、というのが苦手な人間だし
そもそも、音楽が好きなのだ。
とはいえ、鈴木慶一さんに依頼して、お任せしているというのに
そこに僕が入っていって
「もうちょっと、ここ高い音にしたらどうですかね?」なんて
そんな失礼な話はない。
なので、黙っていた。静かにしていた。
ずっとソファに座っていた。

しかし……!
その日も終わろうという頃、唐揚げがないことに気付いた。

僕が持っていった唐揚げ。僕がぜんぶ食べてしまったのである。
手元には、空っぽになった、唐揚げのパック。

唐揚げは、好きだが、いくらなんでも
5人前くらいの唐揚げを、ぜんぶ食べるようなことはない。
というか、普通、考えたら、食べられない量だ。

なんという精神現象。異常行動。
ちょっとした恐怖すら覚えた。

僕はソファを立ち上がり
空になったパックを見せて、慶一さんに伝えた。

「僕……、今日いちにちで、この唐揚げ、ぜんぶ食べてしまいました」

最初は、なにを突然言い出すんだ?
という顔をした慶一さんであったが、すぐに笑顔。
僕の表情と、そのたった一言で、すべてを理解してくれた。

ステキな瞬間だった。

次の日から、僕も音楽制作に加わることになり
慶一さんと、楽しく、ステキな音楽をいっぱい作ることとなった。

「伝わる」、という感覚。

そんな、ステキでハートフルな関係が作れる、慶一さんという人が
僕は、好きで好きで好きなのだ、ということを
改めて思った。

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上の写真は、楽屋の壁。
Liquid Roomの楽屋の壁は、アーティストの落書きでいっぱい。
いいなー。こういうの。


Posted by eno at June 04, 2008 05:10 PM


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