enoblogbanner2011.png
kenjienotwitter.png


February 28, 2006


linepen.jpg
島耕作

kosakushima.jpg

島耕作が、常務版とヤング版の同時発売だったので、新幹線で読んだ。

作者、弘兼憲史による、サラリーマンが主人公の島耕作サーガ。
「課長島耕作」から始まって、「部長島耕作」、「取締役島耕作」ときて
現在は「常務島耕作」と、主人公がリアルタイムに出世していく漫画である。
また、主人公の「入社時代」を描いた、外伝的「ヤング島耕作」も連載中。

他のシリーズは、ほぼリアルタイムなんだけど
「ヤング島耕作」のみ「過去」の漫画となるため、仕掛けが多い。
「課長島耕作」を先に読んでいると、ニヤリとするシーン
「あぁ、これがあぁなったのかあ」的な仕掛けが多くある。
スターウォーズでいう、エピソード1〜3みたいなものか。
まぁ、スターウォーズでいう「どうやって、ダースベーダーになったか?」
みたいな楽しみはないんだけども。(「それで課長になったのかぁ!」はないな)
それは、現在連載中の「常務島耕作」との間にもあって
この度は同時発売を活かして、表紙まで関連させた。(上の写真)
方やケータイ、方やニコンの一眼レフ。
ただ、ケータイのほうが、P701iDだったらなぁとマニアックに思う。

現在の「常務島耕作」は、対中ビジネスが主題。
だけど、どうしても現実からディレイした「なぞり」っぽい内容になっちゃうから
対中ビジネスから、うまく路線変更してほしいなと思う。
読者の世代を考えると、普通に「知っている」事柄でしかないから
自分も含めてわくわくしないと思えるんだけどなあ。知らない世界が見てみたい。
というか、「ビジネス対象」がメインになってしまうと、島シリーズは面白くない。
ワインビジネス時代もいまいちだったように。
ま、前作の取締役時代=上海の董事長の実績を認められて
本社に戻って業務執行役員になった流れから、仕方ないんだろうけど。
そこはリアリティにヘンにこだわらずに、変化を与えてほしい。

ところで、島シリーズの最大の発明は、リアルタイム成長(出世)手法なんだけど
技法としては、「四角い枠取り」が素晴らしい発明だと思っている。(下の写真)

shikaku.jpg

普通の漫画であれば、自分の「思い・考え」の部分は
ホワホワした縁取りの「ふきだし」だが、島シリーズでは「四角枠」だ。
「四角枠」は自問自答系だけではなく、ちょっとした心のつぶやきや
島による説明のナレーションなんかにも使えて重宝する。
台詞にも使えるし、ちょっとした文章にもなる、都合のよい技法だ。
これはホワホワふきだしではできない。
読者は、ふきだしとは違う、四角枠を読むことによって
島耕作の心とシンクロしたり、より考えを深めるのである。
この四角枠の発明があったから、島シリーズは成功したと思うんだけど、なぜか
(作者はわかっているだろうに)、現在の「常務島耕作」ではうまく使われていない。
しかも、他の登場人物までが、この「四角枠」を使ってしまっている。
「四角枠」=「読者につぶやく島の独り言」というせっかくの手法がもったいない。
弘兼さんが知り合いだったら、すぐにでも電話して問い合わせたい。

しかし、最初の「課長島耕作」から読んでいるけど、島、ずいぶん出世したなあ。
このまま「社長島耕作」になるのだろう。それは面白くなりそうだ。
そう考えると、現在の「常務島耕作」は、ドラマとして中途半端なのかもしれない。
業務執行の権限がうまくドラマに結びつかないのだろう。
せっかく本社に戻ったのに、やっているのは対中だし。(まだ言ってる)
そう思うと、早く「社長島耕作」になってほしいものだ。

そして、漫画世代が年寄りになった頃
「会長島耕作」「相談役島耕作」と進んでいけば
シルバー世代をマーケットとした、狙いばっちりの漫画になるね。


Posted by eno at February 28, 2006 03:52 AM


そのほかのブログ記事(最新30)